研究課題
検索可能暗号(Searchable Symmetric Encryption:SSE) はクラウドに暗号化したデータを預託して、キーワードによってデータを暗号化したまま検索を実行することを可能にする技術である。本研究では、共通鍵暗号ベースの検索方式が高速で暗号化と検索が可能なので早期に普及すると想定し、当該技術を用いて長期間にわたってサービスを継続することを目的として、暗号化データベースの維持管理として文書の集まりとキーワードの集まりの世代更新機能と、その実現方法について検討した。併せて、機能拡張に伴う安全性を再定義して、提案方式の効率向上と安全性証明を行った。機能拡張では、単一ユーザ型で任意のタイミングでキーワードファイルをサーバに登録可能な動的検索可能暗号(Dynamic SSE: DSSE) について特許出願した。単一ユーザに限定した場合の DSSE を実現できたので、世代更新機能の問題は解決できた。既存の (D)SSE では扱いが不明確だった漏洩情報について「強フォワード安全性」と呼ぶ安全性概念を定式化した。安全性については、SSEの安全性を定式化して安全性証明を与えた代表的論文(Curtmola et al. 2003年)を理論面および実装面の問題がないか精査し、SSE-1では予期しない条件で検索を行った場合に無限ループが発生する場合があり、SSE-2では安全性定義では許容されない情報が漏洩することを指摘した。指摘したこれらの問題を解決する方式と特許出願したDSSE方式と統合して、最終年度(5年目)に本プロジェクトの成果として論文にした。なお、DSSEの有力な方式について安全性証明の欠陥を指摘し、その方式を基にDSSE方式を提案して国際会議(CODASPY2022)で発表した。
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Lecture Notes in Computer Science, Springer,
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