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2018 年度 実施状況報告書

車載システムの動的フィルタリング機構およびファジングテスト手法の実用化

研究課題

研究課題/領域番号 18K11299
研究機関広島市立大学

研究代表者

井上 博之  広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60468296)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード車載セキュリティ / 組込みセキュリティ / CAN / セキュリティゲートウェイ / なりすまし / ネットワークセキュリティ
研究実績の概要

セキュリティゲートウェイにおける車載LANやECUに対する攻撃手法に対する検出アルゴリズムや動的なフィルタリングルールの生成手法と有効性について検討を行う.コネクティッドカーの外部インタフェースを介した攻撃に対する事例分析と対策案の検討を行い,動的なフィルタリング機構のソフトウェアでの実現および実車での評価を行う.セキュリティゲートウェイを中心としたシステム全体のモデルを設計する.これまでの研究からCANを用いた車載LANの脆弱性や攻撃の検出手法について,周期解析やトラフィックパターン分析に基づく定量的な評価基準を定式化する.なお,認証機構や,動的なフィルタリング機構,特にトラフィックパターン分析や機械学習アルゴリズムの評価のために,クラウドベースの開発評価プラットフォームを構築する.開発評価システムでは,車載LANのトラフィックは全て情報管理サーバ上のデータベースに時刻情報や車両IDと共に蓄積され,サーバ上で分析したり,速度やエンジン状態などの意味のある情報に加工したり,他の処理サーバに渡したりということができる.また,ECUやゲートウェイ間での機器認証の仕組みについて方式提案や実装を行い,不正な機器の検出,鍵交換手順,修理の際の機器の入れ替えの対応等についても検討する.ファジングによるテストについては,ファズデータ生成に脅威モデリング連携型ファジングテスト手法を検討し,効果的な攻撃データであるファズデータの生成とフィードバックを可能にする.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セキュリティゲートウェイでの動的なフィルタリング機構のソフトウェアでの実現をRaspberry Piを用いて行い,実車のトラフィックで評価を行った.組み込み機器で十分なフィルタリング性能は得られたが,正答率については大きな改善はできておらず,来年度に向けてアルゴリズムやパラメータの調整を行う.また,CANメッセージのデータフィールドの関係や周期解析に基づき,攻撃検知やECUの動的解析を可能とする目処が付いた.
高速かつ大容量データを一度に処理することが可能とするための情報管理サーバ上のデータベースに時刻情報や車両IDと共に蓄積するためのシステムは,HyperVisor上で動作するVM(仮想マシン)として実現している.これにより,取得した車載LANのデータをサーバ上で分析したり,速度やエンジン状態などの意味のある情報に加工したり,他の処理サーバに渡したりということができるようになった.このデータロガーでは,通信路のデータ量が多いことが問題であり,その削減のために,CAN特有の性質を利用し,元データの4分の1から5分の1に圧縮する目処がついた.なお,以前は2分の1程度の圧縮となっており,大幅がデータ量の削減が可能となる.

今後の研究の推進方策

前年度の成果を利用し,セキュリティゲートウェイをハードウェア化する目処を付け,そのプロトタイプを設計および実装する.また,実車による評価を通じて要求仕様に対するフィードバックも行う.FPGAを用いたハードウェアプラットフォームでの実装を行う際に検討すべき課題としては,遅延時間を保証できるワイヤスピードでのリアルタイムな検査機構,ルールデータベースによる柔軟な検査機構,攻撃(侵入)検出機構,アクセス制御機構等がある.ファジング手法として,フィードバック機構を備えた脆弱性評価ツールの設計および開発を行い,ECUおよびセキュリティゲートウェイや実車を対象として脆弱性検査手法の評価を行う.ファジング用データの生成手法としては,検査対象の機器からの応答を基にモデルの修正やファズデータ生成を行うことを考えている.

次年度使用額が生じた理由

購入時の端数の数千円分であり,来年度の消耗品として使用する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] 車載LANへ侵入するマルウェアの証拠保全を行うカーネル上のフォレンジック機構2019

    • 著者名/発表者名
      大平修慈,井上博之,新井イスマイル,藤川和利
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌

      巻: 60 ページ: 791-802

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 車載LANにおける異なる種類のデータフィールド値の関係に基づく異常検知方式2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木陵馬,金森健人,家平和輝,井上博之,石田賢治
    • 雑誌名

      マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム予稿集

      巻: - ページ: 879-884

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 車載インフォテインメントシステムにおけるホワイトリストと遅延付加によるCANバス上のDoS攻撃緩和手法2018

    • 著者名/発表者名
      大平修慈,新井イスマイル,井上博之,藤川和利
    • 雑誌名

      コンピュータセキュリティシンポジウム2018 (CSS2018)予稿集

      巻: - ページ: 1128-1133

  • [雑誌論文] 車載ネットワークにおけるCANプロトコルの特性を利用した送信元ECU識別方式2018

    • 著者名/発表者名
      石長篤人,井上博之,石田賢治
    • 雑誌名

      2019年 暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2019)予稿集

      巻: - ページ: 1-8

  • [学会発表] コネクティッドカーに潜むリスクとセキュリティ対策2019

    • 著者名/発表者名
      井上博之
    • 学会等名
      九州サイバーセキュリティシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 自動車サイバーセキュリティ2018

    • 著者名/発表者名
      井上博之
    • 学会等名
      第54回自動車工学基礎講座(広島)
    • 招待講演
  • [学会発表] 車載ネットワークセキュリティへの機械学習の適用2018

    • 著者名/発表者名
      井上博之
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会 PN/NS/IN研究会共催企画シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] AIによるネットワークの進化とその取り組み2018

    • 著者名/発表者名
      井上博之
    • 学会等名
      PN/NS/IN研究会共催企画シンポジウム パネルセッション
    • 招待講演
  • [学会発表] 悪意ある侵略者からの脅威に備えよ! 組込み機器のセキュリティ2018

    • 著者名/発表者名
      井上博之
    • 学会等名
      ミクロものづくり大学 製造技術セミナー「組込み分野のモデルベース開発とセキュリティ」
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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