本研究では、モバイルにおけるブラウザ追跡技術の実用化に関する研究として、ブラウザフィンガープリンティングの大規模実験を行った。結果として、高精度でデバイスの追跡を実現できる得ることを確認できた。ここでブラウザフィンガープリンティングとは、ブラウザから取得可能な情報(以後,特徴点と呼ぶ)を収集し、特徴点を複数組み合わせたものの差異をもとに端末を識別する技術である。 本研究の実験では、実システムへアクセスするモバイルデバイスなどを対象に、異なるブラウザ、デバイスの組み合わせを用いて、ブラウザフィンガープリンティングによる端末の識別精度を評価した。ブラウザフィンガープリンティングの手法としては、機械学習を用いた独自の手法を確立した。特徴点の収集にはアクティブフィンガープリンティング及びパッシブフィンガープリント手法を採用し、デバイスごとの特徴を抽出した実験の結果、ブラウザフィンガープリンティングを用いることで、高い精度でデバイスを識別できることが明らかになった。特徴点の組み合わせにより、各デバイスの識別が可能であり、同一のデバイスでも異なる設定やブラウザの変更によって特徴点が変化することが確認された。この結果は、ブラウザフィンガープリンティング技術がモバイル環境において有効な追跡手法となり得ることを示唆する。特に、不正検知や会員制Webサイトにおける会員IDの推定など、セキュリティや不正検知に関連する応用が期待される。
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