ビッグデータ活用における可視化は,データ可視化とも呼ばれ,従来の可視化技術と比較してデータ主導的であり,データの内容理解・洞察獲得や,データにより伝えたい主題の的確な伝達が重視される.中でも本研究は,データ・ストーリーテリングと呼ばれる,ストーリー形式の新しい情報伝達・可視化手法に着目する.本研究の対象は,SNSやスマートフォンによる経路案内を代表とする,コミュニケーションや行動支援のためのサービスにより大量に生産されている,実世界の位置や場所に関する情報(地理空間情報)である.(1)地理空間情報を対象とするデータ・ストーリーテリングを実現しているコンテンツを収集し,(2)ストーリー進行と注目する地理的位置や領域の移動の関係に着目して,地理空間情報を対象とするデータ・ストーリーテリングの基礎的モデルを構築し,本モデルを用い,(3)データ・ストーリーテリングコンテンツの提示・半自動生成を含む編集環境を提案する. 上記の目的の下で,本年度は,前年度に提案した(3)データ・ストーリーテリングコンテンツの提示手法に関連する,空間スケールの操作に応じた地理的可視化手法を,自転車向けナビゲーションに応用した結果を取りまとめた.具体的には,ユーザによる地図操作ログと,各場所の周辺を考慮した地理的な密度に基づき,場所に応じて適切なズームレベルを推定する手法を,既存の主要なサービス(Goole Maps)で用いられる手法と比較して,精度の向上を示した.
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