研究課題/領域番号 |
18K11313
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大渕 竜太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80313782)
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研究分担者 |
古屋 貴彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00770835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 部分3D形状比較 / 3D形状比較 / 3D形状識別 / 3D形状領域分割 / 教師無し学習 / 深層ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度は,以下の2つのテーマを中心に研究を行った * 3次元(3D)形状の高精度な領域分割:3Dモデルを部分で比較するアプローチの1つに,まず「意味のある部分」を切り出し,その形状特徴を抽出して比較するものがある.そこで必要となるのが,様々なスケール(相対的大きさ)を持つ3D部分形状領域を高精度に領域分割(セグメンテーション)する技術である.これまでの手法では,全体形状と比べて大きな領域は一定の精度で領域分割ができるものの,小さな領域の領域分割制度が低かった.そこで,我々は現在,3D形状を多重解像度で解析する深層ニューラルネットワーク(DNN)の検討を進めている. * 3D形状処理DNNの教師無しおよび半教師あり学習:3D形状やその部分形状の識別,3D形状の領域分割(セグメンテーション),等をDNNで行う際の大きな課題が,その学習に用いるデータベースである.DNNの学習は,その殆どが,教師ラベルを用いた教師付き学習である.しかし,全体形状に対して意味ラベルが付けられた3D形状モデルからなる「ラベル付き3D全体状データベース(DB)」は,その数が少なく,規模が小さく(大きくても数万モデル程度),また形状の多様性が低い(意味カテゴリの種類が少ない,カテゴリ内の多様性が低い,等).これをラベル付き2D画像DBに比べると,DBの数,規模,多様性はそれぞれ2桁以上程度は低い.さらに,3D形状の領域分割を学習するために用いる,領域分割され,その部分ごとに意味ラベルが振られた3D部分形状データベースは,さらに少数,小規模,かつ低多様性である.そこで我々は,教師無しないし半教師ありの制約下で, 3D全体形状の比較あるいは3D部分形状の領域分割を行うDNNを学習するための手法の検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
われわれが取り組んでいる課題はいずれも挑戦的かつ困難な課題である.3D形状の処理,例えばその比較や領域分割などを行う深層ニューラルネットワーク(DNN)の研究は,その数が増えつつ有るものの,2D画像や自然言語のDNNと比べて圧倒的に少ない.さらに3D形状の部分の形状を識別ないし比較する研究はごくわずかで,手法が確立されていない.また,3D形状を処理するDNNの学習を教師無し,ないし半教師ありで学習する研究はその歴史が浅く,手法が確立されていない. このように課題は挑戦的であるが,研究はおおむね順調に進展している.我々は,昨年度に引き続き,3D形状領域分割手法,部分形状識別手法,さらに,様々な3D形状DNNの教師無し学習手法及び半教師あり学習手法の萌芽を見つけ,研究を進めた.その結果,計算資源(GPUなど)による実験上の制限はあるものの,いくつかの有効な手法を見つけることができた.
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今後の研究の推進方策 |
領域分割による3D部分形状の検出,検出された部分形状の比較,などを行う深層ニューラルネットワーク(DNN)と,それと対となる教師あり,教師無し,ないし半教師ありの学習手法についてさらに研究を進める.DNNのアーキテクチャ(オートエンコーダや共通埋込空間を用いた手法など),様々な代理タスクとロス関数,さらにはデータベースそのものの設計と構築まで視野に含めて検討を進める.
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備考 |
以下が2019年度 情報処理学会 論文賞を受賞した.同賞は2018年10月~2019年9月に論文誌に発表された563編の論文(招待論文は除く)から優秀と認められる6編の論文が選定された.深層学習による3次元点群形状特徴を教師無し学習で獲得する研究である. 上西,古屋,大渕,敵対的生成ネットワークを用いた3次元点群形状特徴量の教師無し学習,情報処理学会論文誌,60(7),1315-1324
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