本研究は、多くの部品から構成される三次元CADモデル(アセンブリモデル)を対象とした高精度な部分検索技術の開発を目指している。本研究の特徴は、CADモデル全体の形状やCADモデルを構成する各部品の形状の違いだけではなく、同一形状であっても材質など特性が異なる部品が複数ある場合にはそれらの幾何学的な配置の違いを考慮した検索を実現する点にある。2021年度の実績は以下の通りである。 1.部品単位の比較によるアセンブリモデル部分検索方法の高精度化:これまで我々が開発を進めてきたアセンブリモデルを対象とした部分検索方法では、二つのモデルの比較をサブアセンブリ単位で行っていたが、モデルによって検索精度にばらつきがあった。今年度の研究では、三次元ラドン変換によって得られる特徴量を部品単位で、その幾何学的配置を考慮した形で相互相関や部分空間法を利用して比較することにより、これまでより高い精度で検索する方法を開発した。 2.可動部品を含むアセンブリモデルを対象とした検索方法の開発:エンジンなどのモデルは可動部品を含んでいるため静止状態における部品の位置は様々であり、静止したモデルを対象とした検索方法をそのまま利用することはできない。今年度の研究では、これまでに開発した静止モデルを対象とした検索技術を基盤として、静止したアセンブリモデルの形状に加えて、それに含まれる可動部品の位置の時間変化が合わせて記録されたデータを対象とした検索方法を開発した。
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