研究課題/領域番号 |
18K11328
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
増田 信之 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 教授 (60323333)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ハイパフォーマンスコンピューティング / 専用計算機 / ディジタルホログラフィ |
研究実績の概要 |
現在,様々な分野でディジタルホログラフィを使用した三次元計測が行われている.特に生体内の物質を輸送する血液の動きと赤血球などの形状を計測することは,生体内の物質の輸送機構を解明するために非常に重要なことである.また,近年になって三次元高速度イメージングにおいても,ディジタルホログラフィを応用した計測が行われてきている.しかしながら,これらの計測において,撮影されたホログラムから三次元空間を再生するためには,膨大な計算時間を必要とする.本研究では,ディジタルホログラフィを応用した三次元計測を支援するFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いた専用計算機システムを構築し,それを様々な三次元計測に応用し,上記のような問題を解明することを最終的な目標としている.また,三次元計測と高速イメージングでは,再生に利用する計算式が一部違い,専用計算回路が異なる.FPGAでは回路の再構成は出来るが,ある程度の時間が必要となる.この時間を短縮するために,計算機システムを再起動する必要ない使い勝手のよいシステムを構築する. 本研究での,三次元空間再生用専用計算機システムが開発されれば,三次元流体速度場可視化技術,流体内の物質の移動や物体の形状を解析するためのアルゴリズム等の技術,三次元イメージングを応用した計測技術が今まで以上に向上すると考えられる.このような三次元空間再生システムの応用としては,様々な分野で必要とされている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来のシステムでは,高速イメージングの場合,4枚のホログラムからそれぞれ8枚の再生面を計算する場合,通信時間が28秒で,計算時間が0.7秒となっていた.新しい評価ボードでは,通信時間が7秒に,計算時間が0.23秒になると考えられ,再生面1枚あたりの高速化は,約3倍になる予想であった.また,通信時間と計算時間の比は約35になり,理論的には,計算の並列化が1枚のホログラムあたり35面までは,通信時間がボトルネックにならないと考えられた.これらの回路を実装した評価用FPGAボードをPCに2枚さしたシステムを用いて,並列化の評価を行ったところ予想と同等な結果がえられた.また,速度場解析を行う回路の実装も行い,三次元空間再生計算との動的な変更が可能かどうかの検証を行なう準備も出来た.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の結果を元に,専用計算機用新ボードの設計を行う.ここでは,1枚の専用計算機ボードに2個の計算用FPGAを搭載し,それぞれのFPGAには1個の外部RAMユニットを接続する予定である.専用計算機ボードの設計は,専用のCADを用いて行い,専用計算機ボード上に実装する電子部品の配線情報だけを作成し,あとは基板作成業者に発注する予定である.その後作成された専用計算機ボードを用いて,2018年度に作成した計算回路を実装し,性能の評価を行う.この専用計算機ボードでは,三次元計測用パイプラインを4本,高速イメージング用計算パイプラインは8本実装する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 購入予定物品が計画時より購入価格が安くなったため使用金額が低くなり,繰越金が生じた. 使用計画 購入予定である電子部品の一部が海外からの取り寄せで,為替相場の影響を受けるため,その追加支出に使用する.そのため,物品費に計上する.
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