• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

粒子シミュレーションによる左心室から大動脈への血流の可視化と圧力変化の検証

研究課題

研究課題/領域番号 18K11330
研究機関東京都市大学

研究代表者

向井 信彦  東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20350233)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード物理シミュレーション / コンピュータグラフィックス / 可視化 / 医工学 / 粒子法
研究実績の概要

令和元年度は本研究2年目の年度に当たるため、平成30年度に構築したシミュレーションモデルを基に粒子法を用いて左心室から大動脈への血流シミュレーションを行った。基本的には左心室から大動脈への血流であるが、左心室への血液流入も考慮するため、シミュレーションモデルには左心室の入り口である僧帽弁口を設け、僧帽弁口から左心室への血液流入を行った。僧帽弁口から流入した血液が左心室に充満するにつれて左心室内の圧力が高まり、左心室内の圧力が大動脈内の圧力を超えると圧力差により大動脈弁が開口する。大動脈弁の開口と同時に血液は左心室から大動脈へ流れ、この血流により大動脈内の圧力も上昇する様子をシミュレーションし、さらに血液の流れを粒子で可視化することができた。また、血液粒子の色を圧力値に応じて変更することで左心室および大動脈内の圧力変化を視覚的に把握することが可能となった。なお、粒子法でシミュレーションする場合、粒子同士の接近により圧力値が異常に高くなり、血液粒子が左心室や大動脈から流出する現象も見られたが、シミュレーションモデルに血液粒子流出防止用ダミー壁を設けることで、粒子のシミュレーションモデルからの流出をほぼ防止することができた。この結果、左心室から大動脈への血流シミュレーションと圧力の可視化を行うことは可能となった。しかしながら、シミュレーションにおける圧力変化を文献値と比較したところ、シミュレーションの圧力値は文献値よりも高い値を示していた。これは、僧帽弁口から左心室への血液流入が連続的に行われているためであると思われる。心臓の弁動作は連動しているため、僧帽弁口から血液が流入した後、僧帽弁は一旦閉口し、左心室の等容性収縮後、左心室内の圧力が上昇して大動脈弁が開口する。今後はこのような弁の連動性を導入することで、シミュレーションにおける圧力変化を文献値に近づける必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度において血流の可視化までは行っていたが、左心室および大動脈内の圧力変化の可視化は行えていなかった。令和元年度において左心室おおび大動脈の圧力変化を行い、文献値と比較することができた。最終年度である令和2年度には圧力変化を文献値に近づける手法の検討が行えるところまで進展したため。

今後の研究の推進方策

令和元年度において、左心室から大動脈への血流と圧力の可視化を行えるところまで進展したため、最終年度はシミュレーションの圧力変化を文献値に近づけるための手法を考案する。その一つが僧帽弁と大動脈弁の連動性の考慮である。また、左心室の等容性収縮も考慮する必要があるため、左心室の弾性率の調査を行う。ただし、本研究は人間の心臓を対象としており、人体実験が行えないため、文献調査で見つからない場合には、シミュレーションにおける圧力変化を文献値に近づけることのできる物性値を採用する。

次年度使用額が生じた理由

科研費の成果発表における学会で関連研究の調査も行ったため、科研費と受託研究費で業務内容に応じた按分支出を行った。このため、旅費の一部が未使用となった。令和元年度における未使用金額は令和2年度における成果発表で支出する。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 粒子法による液滴の滴下挙動再現と定量的評価2019

    • 著者名/発表者名
      夏目拓也, 大石正道, 大島まり, 向井信彦
    • 雑誌名

      芸術科学会論文誌

      巻: 18 ページ: 106-113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Computer Graphics Applications with Particle Methods2020

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai
    • 学会等名
      International Conference on Image and Graphics Processing
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 力覚提示を伴う魚料理の操作シミュレーション2020

    • 著者名/発表者名
      塚本貴也, 張英夏, 向井信彦
    • 学会等名
      映像情報メディア学会研究会
  • [学会発表] いけばなシミュレータにおける花材の転倒と破断の実現2020

    • 著者名/発表者名
      山口健太, 張英夏, 向井信彦
    • 学会等名
      映像情報メディア学会研究会
  • [学会発表] Particle based Droplet Simulation in Liquid-Liquid Two-phase Flow2019

    • 著者名/発表者名
      Takuya Natsume, Masamichi Oishi, Marie Oshima, and Nobuhiko Mukai
    • 学会等名
      International Congress on Modelling and Simulation
    • 国際学会
  • [学会発表] Particle based Blood Flow Simulation in the Aorta and the Left Ventricle2019

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai
    • 学会等名
      International Drug Discovery Science and Technology
    • 国際学会
  • [学会発表] Pressure Change Simulation in the Aorta and the Left Ventricle with Compression2019

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai, Kazuhiro Aoyama, Takuya Natsume, and Youngha Chang
    • 学会等名
      International Conference of the Society for Medical Innovation and Technology
    • 国際学会
  • [学会発表] Candle Flame Simulation Considering Combustion States2019

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai, Shu Akasaka, and Youngha Chang
    • 学会等名
      International Workshop on Image Electronics and Visual Computing
    • 国際学会
  • [学会発表] Investigation on Viscoelastic Fluid Behavior by Modifying Deviatoric Stress Tensor2019

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai, Erika Matsui, and Youngha Chang
    • 学会等名
      International Conference on Simulation and Modeling Methodologies, Technologies and Applications
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on Spray Cloud Behavior depending on Waterfall Height2019

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiko Mukai, Yuka Sunaoshi, and Youngha Chang
    • 学会等名
      NICOGRAPH International
    • 国際学会
  • [学会発表] 空間整合性を基にしたマーカレス拡張現実感の実現2019

    • 著者名/発表者名
      中村建太, 張英夏, 向井信彦
    • 学会等名
      映像情報メディア学会冬季大会
  • [学会発表] 側音化構音の舌運動様式についてー3次元舌モデルとエレクトロパラトグラフィを用いた分析の試みー2019

    • 著者名/発表者名
      武井良子, 森紀美江, 山田紘子, 長谷川和子, 向井信彦, 高橋浩二
    • 学会等名
      日本言語聴覚学会
  • [学会発表] 界面張力モデルによる脳動脈瘤用塞栓材液滴形成の比較2019

    • 著者名/発表者名
      夏目拓也, 大石正道, 向井信彦, 大島まり
    • 学会等名
      日本バイオレオロジー学会
  • [図書] コンピュータ概論2020

    • 著者名/発表者名
      向井信彦, 田村慶信, 細野泰彦
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      オーム社
    • ISBN
      978-4-274-22458-4
  • [備考] 発表文献一覧

    • URL

      https://www.vgl.cs.tcu.ac.jp/mukai/bibliography.html

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi