研究課題/領域番号 |
18K11331
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中尾 昌広 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (50582871)
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研究分担者 |
村井 均 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (70590074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高性能計算 / コンパイラ / メタプログラミング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,1種類のソースコードを様々な計算環境において高い性能で利用可能にすること,すなわち性能可搬性を考慮したプログラミング言語を開発することである.2018年度は,この目的を実現するために必要な2つのコンポーネントを開発し,それらの評価を行った. 1つ目のコンポーネントとして,既存の指示文ベースの並列言語であるOpenMPを拡張し,複数のアクセラレータを1つのアクセラレータとして簡易に利用できる機能を開発した.この機能を用いることで,ユーザはアクセラレータの構成が異なる計算環境においても,同じソースコードを用いることができる.いくつかのベンチマークを用いて評価を行った結果,開発した機能は,手動で最適化を行った場合とほぼ同程度の性能を発揮することを確かめた. 2つ目のコンポーネントとして,FortranおよびC言語をターゲットとしたメタプログラミングについて検討を行い,その言語の設計およびコンパイラの実装を行った.ここで言うメタプログラミングとは,ソースコードを処理対象とするプログラミングのことである.HPC向けの高度な最適化をメタプログラミングの技法で記述することにより,複雑なコード変形をユーザプログラムから切り離すことが可能となり,高性能と高生産性を両立する理想のプログラミング環境を実現することが期待できる.具体的な評価として,ループ・アンローリングやデータレイアウト変換をメタプログラミングを用いることで簡易に適用できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に行う予定であった2つのコンポーネントの開発が終了し,想定通りの結果を得ることを確認した.以上より,2018年度はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は計算ノード内を対象に行ったため,2019年度は計算ノード間を対象にして研究を行う予定である.具体的にはHPCアプリケーションとしてよく利用されるステンシル計算をターゲットとし,性能のボトルネックとなりうる袖通信のパラメータ(通信の計算のオーバラップの有無・袖幅など)の自動調整機能を実現する記法を開発する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
開発効率を上げるため、最新のアクセラレータを搭載した高性能ワークステーションを購入し、ローカル環境に設置する予定であった。しかしながら、本申請の採択後に発売されたアクセラレータの価格が予想を上回っていたため、東京大学が運用しているワークステーションを有償でレンタルし、リモート接続して開発を行うことにしたため。 使用計画として、2019年度以降も同じ東京大学のワークステーションを利用予定である。しかし、非常に混み合っているため、差額分を用いて他の有償サービスを追加利用することを考えている。
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