京コンピュータの後継機である富岳はエクサスケールまでは達成していないが、メニーコアかつ超並列接続という構成になっており、そのような環境では多くのステンシル計算の並列化効率が大きく劣化すると見積られている。その主な原因は並列化に伴う通信であり、特に数百万プロセス間での同期が大きいと考えられている。本研究では、このようなエクサスケール環境において(A)ウイークスケーリングとストロングスケーリング共にスケーラビリティ減衰が無いステンシル計算・通信モデルの開発、及び(B)そこで利用される袖(Halo)通信関数の開発を行うことを目的としてきた。 2020年度が研究最終年度であったが、新型コロナの影響もあり実験を行う時間が限られ、計算量や並列数に関する最適な構成を見いだすまでに至らなかった。そのため、2021年度まで研究期間を延長し、実験を行った。その結果、Halo関数の有無に関係無く並列数が上がると同期によりスケーラビリティが下がるが、Halo関数を利用することで、その下がる率が緩やかなになること、ウイークスケーリングでは1024ノード利用(36864プロセス並列)でHalo関数の効果がほとんど見えなくなることが確認された。 更にこのスレッド構造や関数群を参考に、複数アプリケーション間で通信するフレームワークを考え、効率的にデータのやりとりを行えるライブラリ開発に応用を始めた。 実験結果に関して、内容をまとめて公表した。
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