研究課題/領域番号 |
18K11340
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
田中 輝雄 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (90622837)
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研究分担者 |
長谷川 秀彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (20164824)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高精度計算 / 大規模並列処理 / 自動チューニング / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の課題について、それぞれ研究実績を項目ごとにまとめる。 (a)高並列計算機用高精度演算環境の構築:①倍々精度演算ライブラリのAVX-512への対応に関しては、複数の混合制度での対応を共通関数化で実装し、完了とする。②GMP向けMPIコード自動生成に関しては、今年度の進捗はない。③大規模並列計算機用高精度演算環境における通信量削減方式の実現に関しては、RDMA通信およびセマフォによる同期処理の削減によるデータ通信手法の研究について発表した。 (b)④高精度並列計算アルゴリズムの開発としては2件の検討を行なった。まず、ベクトルデータの格納方式であるAoSとSoAについて比較分析を行い、キャッシュに入るサイズではSoAの効果があり、キャッシュに入りきらないサイズでは性能に差がなく、使い勝手の良いAoSでも充分であることを示した。また、GPUを用いた計算において、従来からCUDAでの記述が主流であったが、近年、ディレクティブベースの記述方法が実現されており、性能面から評価を行った。その結果、複数の計算機環境での性能特性が異なることを示した。 ⑤自動チューニング技術の適用については、複数個所の同時性能パラメタチューニングを指向した。また、機械学習など、今後、半精度を含め、混合精度演算が重要となると考える分野に対する適用を試みた。 研究成果の公開として、③に対して、計算工学講演会で1件の口頭発表を行った。④に対して、情報処理学会全国大会(2023.3)で2件の口頭発表を行った。内1件は学生奨励賞を受賞した。⑤に対して、国際学会(HPCAsia2023、於:シンガポール)にて、1件の口頭発表および1件のポスター発表を行った。ポスター発表は、HPC Asia 2023 BEST STUDENT POSTER AWARD 3rd Placeを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、課題①-⑤については、個別に研究を進めている。特に、④と⑤を組み合わせることにより、目標を達成する成果が期待できる。また、外部識者との議論があまりできておらず、公開まではいかなかったが、実質、改良ならびに評価は進められている。 課題⑤については、自動チューニングに適用するべき項目が明らかになってきた。さらに、実装と実証実験を進め、発表による情報公開を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度まで得られた成果をもとに、さらに、成果を実現するための実装ならびに実証実験を進める。また、それをもとに国内外に発表による外部識者からのフィードバックを受けることを進める。課題については、近年実用化が進んでいるディレクティブ方式によるGPU利用による高精度演算への適用などを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の対応のため、今年度から成果発表を開始したが、まだ、予定の発表がすべてできていないため。 国内外の学会(情報処理学会HPC研究会、HPC Asia、SuperComputing(SC)など)での発表を計画している。
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