研究実績の概要 |
画像の画素ごとに,周辺画素値のデータを用いて,そのデータ行列を反復法を用いて特異値分解して特異値を縮退処理(微小な特異値を0に削除)する方法を実装し,実行速度を計測した.これまでに,初年度には,ノイズ除去法である ASTV 法[1]に組み込み,実行時間を1/5へと短縮した[2].昨年度は,反復的な最適化法に対して組み込むことを試みた.反復的な処理を必要とする場合,画素ごとに行っていた特異値分解が,更に,反復ごとに必要となる.このとき,ある画素における特異値分解結果は,前回の反復において得られた特異値分解結果と近く,前回の反復結果を基に特異値分解の初期値を与えることで,すでに提案した [2] の方法よりも高速に特異値分解を行え,実行時間を [2]よりも1/4短縮でき,[1] の1/20へと短縮できる.この方法について,電子情報通信学会の信号処理シンポジウムにて報告した[3].また,論文としてまとめ,投稿中である. 参考文献: [1] S. Ono, K. Shirai, and M. Okuda, "Vectorial total vari-ation based on arranged structure tensor for multichannel image restoration," in Proc. IEEE ICASSP, pp.4528-4532, 2016. [2] 伊藤 勇弥, 白井 啓一郎, 宮尾 秀俊, 丸山 稔, "複数の色や成分を扱う画像処理における画素ごとの特異値分解の計算効率化," 信学会 信号処理シンポジウム, pp.270-275, 2018. [3] 伊藤 勇弥, 白井 啓一郎, 宮尾 秀俊, 丸山 稔, "画像の局所領域ごとの特異値分解における初期値の伝播法の検討," 信学会 信号処理シンポジウム, Poster P-18, 2019.
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