研究課題/領域番号 |
18K11352
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
岡部 誠 静岡大学, 工学部, 准教授 (40557211)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像処理 / 画像再構成 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
2018年度に実装した画像から3次元ボリュームを得るための画像再構成技術(CT)の改良を行うとともに,疎な2次元画像集合から密な2次元画像集合を生成するためのテクスチャ合成技術についても改良した. CT技術については,2018年度は最小二乗法及び,filter back projectionの2つの手法をCPUを用いて実装した.2019年度はこれらを並列計算器(GPU)を用いて実装し,CPU版の数十倍の高速化が達成できることを確認した. テクスチャ合成技術については,2018年度はPatchMatchに基づいた手法のGPU版を実装していた.ところが,この手法で生成される画像を観察すると,入力画像(疎な2次元画像集合中の)の単純なコピーが生成されてしまう場合があることが分かった.即ち,密な2次元画像集合を作ると,その中の複数の画像に同じ見た目が観察され,その結果として得られる3次元ボリュームはぼやけてしまい,良質な形状をモデリングできなかった.PatchMatchにおいて,局所パッチを探索する際,回転やスケールも考慮することによる柔軟な画像合成機能を実装し,問題の解決を図ったが,コピーが生成されてしまうという問題は解決できないことが分かり,パッチベースのテクスチャ合成手法の限界が見えた. そこで,テクスチャ合成に関し,deep learningベースの手法を導入した.学習済みモデルから得られる特徴量間の相関を制約する手法であるが,実験の結果,入力画像(疎な画像集合)に似ていない画像の集合を生成してしまうことがあるという問題,また,その生成に多大な時間を要するという問題があることが分かった.そこで,学習済みモデルを使わず,入力画像に見られる特徴(フィルタ)をその場で学習する手法を開発した.その結果,入力画像の特徴をとらえることができ,かつ,高速なテクスチャ合成手法を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「① 疎なソノグラム画像集合から高画質な3次元ボリュームを得るCT技術」については基礎技術が2018年度に完成し,2019年度は実際に3次元ボリュームのモデリングを行うことができた.一方で,結果は期待したような質を達成できておらず,テクスチャ合成技術の改善が必要なことが分かり,それに取り組んだ. 「② 雑な2次元入力から3次元形状をモデリングする技術」「③ 上記①と②を統合した、より高度なモデリング技術」については,その準備として,スケッチを入力するためのインターフェースの実装や,ボリュームからメッシュデータに変換する機能の実装を行った. ②と③については遅れがちにも思うが,①に関して面白い問題が見つかり,また,その解決策についても提案ができてきたので,研究としては順調に進んでいると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
「① 疎なソノグラム画像集合から高画質な3次元ボリュームを得るCT技術」については2019年度までに実装した基礎技術を組み合わせ,実際に3次元形状のモデリングを行っていく.医療の世界では,画像再構成の際,人体への影響を考え,撮影するX写真の枚数をなるべく減らしたいというモチベーションがある.そのような分野への応用例もモデリングし,2019年度よりも高画質な結果が生成できるよう,研究を進めたい. 「② 雑な2次元入力から3次元形状をモデリングする技術」「③ 上記①と②を統合した、より高度なモデリング技術」については2019年度までに準備が整ったので,2020年度より核となる技術について開発に着手する.
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