本研究は,シングルボードコンピュータを用いた大規模可視化システム,タイルドディスプレイを構築するために,タイルドディスプレイ構成ミドルウェアを開発するものである. 昨年度の研究としては,タイルドディスプレイにおける軽量化を目指し,マイクロサービス化の適用や並列化について検討した.開発しているタイルドディスプレイミドルウェアでは,マスターノードでフレーム画像の圧縮,ディスプレイノードでフレーム画像の展開を行っており,ノード間転送をストリーミング処理として実装している.この圧縮,展開にかかる実行時間がボトルネックになるということが判明しており,フレーム画像の圧縮および展開について負荷分散を目指し,マイクロサービス化を適用した. マイクロサービス化とはOS仮想化モジュールを用い,ホストOSとは独立したサービスとして起動させる仕組みのことを指す.OS仮想化を用いて独立しており,さらにシングルボードコンピュータにおいてもマルチコア化が進んでおり,仮想OSが複数起動してもオーバーヘッドが少なく,マイクロサービスのみを動かしているため,ボトルネックは少ない抑えられる.本研究課題においては,フレーム画像の圧縮行程をマイクロサービス化し,さらにパイプライン処理として並列に送信することで,マルチプロセスでの並列処理よりオーバーヘッドが低減されることを確認した.こうした取り組みについて現在,論文にまとめており,今後の予定としては,さらなるマイクロサービスの細分化や,応用として様々なデバイス(ヘテロ)を用いたタイルドディスプレイの構成について取り組みたい.
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