研究課題/領域番号 |
18K11356
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
尺長 健 日本女子大学, 理学部, 教授 (80284082)
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研究分担者 |
右田 剛史 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90362954)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 共分散行列 / 加重和制約付き加重方程式 / 白色化 / 射影係数 / 外れ値処理 / 照明適応 / 3次元モデル生成 / 姿勢・形状同時推定 |
研究実績の概要 |
(1)加重和制約付き加重方程式を様々な側面から解析することで,汎用性のある認識系の構成法を検討してきた。従来,不足決定系線形連立方程式の観点からバイアスの導入を検討し,相対距離バイアスの有効性を示した。次に,最適解が白色化後の内積に帰着できることを示し,適応的次元選択の有効性を示した。また,照明適応を用いない場合に,統計的取扱いの有効性を示すとともに,照明適応を用いる場合について検討した結果,白色化後の外れ値処理が有効であることを突き止めた。これは,多次元標準正規分布モデルを根拠にして,内積計算によるノイズの増幅を防ぐ効果がある。比較実験結果から,相対距離バイアスや適応的次元選択では,部分空間の次元数により識別性能が大きく変動するのに対し,白色化後の外れ値処理では,次元数に関わらず大きな効果が得られることが確かめられた。 (2)顔追跡・認識融合系への適用については,画像処理ワークステーション上での既存系の動作確認を終えている。また,動画像を用いた3次元顔モデル生成については,動画像上で姿勢・形状同時推定をまず行い,その結果を初期値として形状が一定であることを制約としたバッチ処理を用いることにより,形状推定精度の改善を実現できることを,一昨年度の国際会議(IW-FCV)において論文で発表し,Best Paper Awardを受賞している。姿勢・形状同時推定による形状モデル生成が可能になると,形状モデルを用いた個人固有空間生成が自動的に行え,大量に形状モデルを収集できることで,現在は高々100名のデータかあら構成している仮想個人固有空間の精度を向上できると考えられる。これまでに,動画像による3次元形状モデル生成について検討した結果,姿勢に偏りがなければ十分な精度を実現できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論化については,前年度までに,射影係数の統計的安定性の利用,各種の外れ値対策の有効性を検証し,射影係数の取扱いに関して一定の成果があった。また,照明適応を用いる場合の識別性能について検討してきたが,白色化後に外れ値処理を入れることにより,識別性能の大幅な向上を確認できた。一方,照明適応を用いるためには,事前に照明変動を吸収できる個人固有空間を作成する必要があるが,動画像からの3次元顔形状モデル生成法の有効性を確認している。これらの成果を,今年度,追跡・認識融合系に集約し,画像処理ワークステーション上で有効性を検証していく予定であったが,研究代表者の移動とコロナに関する社会的状況の影響で実験環境の整備,データ収集が遅れたことにより,現在のところ集約に至っていない。これにより,論文発表についても遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)理論化に関しては,引き続き,加重和制約付き加重方程式を様々な側面から解析することで,汎用性のある認識系構成法を確立していく。これまでに,不足決定系線形連立方程式の最適解が白色化後の内積に帰着できること,白色化後に外れ値処理を施した後に内積を計算することで識別性能を大幅に改善できることを見出している。次年度は,顔データ以外のパターン認識問題での有効性を検証し,白色化後の多次元標準正規分布モデルによる外れ値処理の有効性を検証していく。 (2)加重方程式の構成に利用する射影係数は,照明適応により求めるのが最善であるが,照明適応には,登録人物毎の個人固有空間(照明変動を含む画像から構成)が必要となる。一方,姿勢・形状同時推定による形状モデル生成が可能になると,形状モデルを用いた個人固有空間生成が自動的に行える。一方,大量に形状モデルを収集できることで,現在は高々100名のデータから構成している仮想個人固有空間を大量のデータから構成することも可能になると考えられるが,コロナ対策の観点から動画像データの新規取得が難しいため,代替えの方法による集約に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表研究者の移籍と、新型コロナによる行動規制により、新環境における研究の立上げに支障が生じたため、前年度未使用額と合わせて約73万円の未使用額が生じている。 次年度においては、社会状況の変化がある程度は期待できると考えられることから、可能な範囲内での計画の実施を進めたい。なお、当初計画において予定していたもののうち、国際会議への参加については海外渡航が難しくなっているため、加重方程式の性能検証用のPC購入等に切り替えた上で、研究計画を実施していく。
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