環境保全や水産業支援において、海中生物の生態を解明する上で、環境情報、特に水流情報が重要な意味を持つ。しかし、空間的に高密度且つ長時間の水流計測は極めて困難である。本研究では、水中に常時存在し、水流追従性の高い、藻類等の海中微小体(海中浮遊物)を利活用することで、「観測対象への影響が軽微で」「環境に優しく」「空間的に密で」「継続的に計測が可能な」水流情報を計測するシステムを開発する。具体的には、カメラにて海中の浮遊物を追跡し、その移動ベクトルから局所的な水流情報を推定するシステムの開発を行う。 水中計測においては、計測範囲の広域化が大きな意味を持つ。そこで、本年度は、昨年度までに構築した海中物体の三次元推定アルゴリズムの、全方位カメラ(360度カメラ)への転用を行った。全方位カメラ利用時に必須のレンズ歪み補正技術を組み込み、全方位カメラ2台を用いた三次元推定技術を確立した。これにより、通常のカメラに比して圧倒的な広域での計測環境を整えた。 本システムを用いて、実際の養殖水槽内を計測し、実現したシステムの有効性を検証した。
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