本研究は、ユーザに負荷をかけずに自然なロボットとのインタラクションを通じた記号創発学習を実現することを目指している。この目的を達成するためには、ユーザとロボットの間で協力的なインタラクションを構築する技術が不可欠である。2023年度の最終年度において、協力的インタラクション構築のために、以下の重要な基盤技術を開発した。 1.身体的協力の中での発話の意味のグラウンディング技術:被験者の行動と発話の観測データを用い、自然なインタラクションの中で発話の意味を、インタクラクションにおける物理的特徴と相互信念状態にグラウンドする手法を開発し、その有効性を検証した。 2.物理世界シミュレータを用いたヒューマン・ロボット・コミュニケーションのグラウンディング技術:大規模言語モデルを用いて制御されるマルチエージェントの物理世界にグラウンドしたコミュニケーション技術を開発した。特に、ユーザに負担をかけない自然なロボットのインタラクションの実現するために、物理世界に関する相手の信念状態の推定に基づいたコミュニケーションを可能にした。 3.コレクティブLLMダイナミクスの分析技術:大規模言語モデル(LLM)を利用した記号創発ロボットを実現するために、LLMによる信念共有のダイナミクスを解析する技術を開発し、その特徴的な特性を明らかにした。 これらの技術の開発を通じて、ユーザとロボットの間で自然な記号創発学習を実現するための基盤が確立された。
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