研究課題/領域番号 |
18K11361
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
杉村 大輔 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10712052)
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研究分担者 |
浜本 隆之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (10297624)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知覚情報処理 |
研究実績の概要 |
カメラ映像を用いた人物照合に関する研究を行う.本研究課題では,「集団」と「個人」の階層的認識による人物照合手法の構築を目指す.具体的には次の二つの課題に取り組んでいる:(1) 視野を共有しないカメラ間人物照合,(2) 動作特徴を用いた個人認証.
2020年度に取り組んだ研究の概要は以下の通りである. (a) 研究動向の調査:関連研究の調査を引き続き行った.照明環境の変動(昼間 or 夜間等)に対応するためにマルチスペクトル(可視光,近赤外,遠赤外等)を活用した手法が前年度よりも多く発表されていることがわかった.深層学習に関する知識だけでなく画像センシングに関する知識も重要になることがわかった. (b) 深層学習を用いた瞬き動作認証手法に関する検討:2019年度に検討した動作特徴を用いた個人認証手法を発展させるために,深層学習を取り入れた瞬き認証手法を検討した.深層距離学習の枠組みに基づき,畳み込みニューラルネットワークおよび再帰型ニューラルネットワークを活用した方式を検討した. (c) カメラ視野内における人物移動軌跡推定の高度化:課題(1)に掲げた視野を共有しないカメラ間人物照合について検討を進めた結果,カメラ視野内における人物の移動軌跡の推定性能を高度化する必要がある問題に直面した.そこで,グラフニューラルネットワークを用いた人物対応付けに基づく移動軌跡推定手法について検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,新型コロナウイルス感染拡大に伴い,研究実施体制の大きな変更を余儀なくされた.当初は,2019年度の検討によって得られた知見に基づき,被験者の視線特徴を考慮した瞬き動作認証方式を検討する予定であった.深層学習の枠組みに基づいた認証方式の基礎検討はできたものの,上記の理由に伴い,視線特徴を考慮した方式の検討には至らなかった.またカメラ間人物照合に関する検討では,カメラ視野内での人物の移動軌跡より得られる動作特徴を活用することが有効であると考えた.このような動作特徴を活用するためには,カメラ視野内における移動軌跡推定性能の向上が不可欠であることがわかった.この課題を解決することが先決であると考え,方式の検討を重点的に行った.これに伴い,カメラ間人物照合の枠組みの工夫に関する直接的な検討には至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,以下のような方策に基づき検討を進める: (1) 視野を共有しないカメラ間人物照合: カメラ視野内人物移動軌跡推定に関する検討を進め,頑健に動作特徴を取得できるようにすることを目的とする.2020年度はグラフニューラルネットワークを用いた移動軌跡推定に関する基礎的な検討を行うことができた.この知見に基づき,2021年度は本方式の検討をさらに進め,カメラ間人物照合方式への活用を目指す. (2) 動作特徴を用いた個人認証: 前述したように,2020年度は深層距離学習の枠組みに基いた瞬き動作認証方式の基礎検討を行った.2021年度は,被験者の視線特徴を組み入れた認証方式を検討し,その認証性能について詳細に検証することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,論文投稿・参加を検討していた国際会議・研究会のいくつかが開催中止となった.これにより,会議参加のための参加費および旅費の支出額が予定よりも大幅に少なくなった.これが次年度使用額が生じた大きな要因である.一方,前述したように2020年度の検討により解決すべき課題が新たに生じた.本課題解決を含め円滑に研究を推進するために,適切に活用する予定である.
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