カメラ映像を用いた人物照合に関する研究を行う.本研究課題では,「集団」と「個人」の階層的認識による人物照合手法の構築を目指す.具体的には次の二つの課題に取り組んでいる:(1) 視野を共有しないカメラ間人物照合,(2) 動作特徴を用いた個人認証. 2021年度に取り組んだ研究の概要は以下の通りである. (a) 人物移動軌跡推定に関する検討: 昨年度報告したように,課題(1)に掲げた視野を共有しないカメラ間人物照合の性能向上において,人物の動的特徴を考慮することが重要と考え,人物の移動軌跡計測について引き続き検討した.具体的には,畳み込みニューラルネットワーク,再帰型ニューラルネットワーク,およびグラフニューラルネットワークを活用した人物移動軌跡推定手法について検討した. (b) 動的・静的特徴に基づく個人認証手法に関する検討: 2020年度までは瞬き特徴を用いた深層学習に基づく個人認証手法について検討した.2021年度は,瞬きだけでなく,異なる特徴を組み入れることが認証性能向上に繋がるのではないかと考えた.そこで,静的特徴である顔特徴と発話時の唇形状の時系列変化特徴を組み入れた個人認証手法を検討した.
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