研究課題/領域番号 |
18K11363
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
渡辺 一弘 創価大学, 理工学部, 教授 (40240478)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光ファイバセンサ / 人工皮膚 / 知覚機能 / マルチモーダル / ヘテロコア |
研究実績の概要 |
本研究は、ヘテロコア光ファイバセンサを知的構造体に実装するために最適なセンサ形態を実験的に明らかにし、多様な刺激に対し感受性をもつ高機能な人工皮膚の実現を目指す。 具体的には、ロボットの外部を覆う人工皮膚を対象として接触力、振動、慣性力、液体付着、 湿度に感受性をもたせるマルチモーダル感覚センサデバイスの構築と人工皮膚への実装法を開発する。 30年度前半では、人工皮膚への実装に適したセンサ構造及びファイバ伝送路の選定を行い、終端反射構造を設けたセンサを試作した。この構造により人工皮膚への実装に際してファイバ伝送路の自由な取り回しが可能となった。 30年度後半では、各刺激a.接触力&振動、b.慣性力、c.液体付着、d.湿度における最適なセンサ実装法の確立を目指し、検出方式の全く異なる刺激に対して感度をもつよう4種のセンサの実装法を考案した。(a)曲げセンサを皮膚表面付近に直接埋め込み接触力と振動を検出する方式では、人工指に埋め込まれた構成でセンサが4N以下の接触力とDC~1 kHz以上の振動を検出することを実証し、更にセンサ応答から触れた対象の質感(硬軟感、粗さ感)を分析できることを明らかにした。(b)人工指内部に設けた空洞に曲げセンサを固定する方式では、片持ち梁状(カンチレバー型)の小型な振動センサを考案し、加速度に対する検出性能を実証した。(c)皮膚表面に空洞及び化学センサを設ける方式では、センサに物理的な接触を避けるためケーシングを行なった場合に、液体がセンサ部にアクセスしにくくなり検出性能が低下することが判明した。そこで表面に溝を設けてファイバを配線することで、物理的な接触を回避しつつ液体を検出する埋め込み方法を考案した。(c)方式および(d)の指先内部に湿度感知化学センサとその筐体を設ける方式は試作段階をへて、速やかに検出特性の検証段階に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.【人工皮膚への実装に適したセンサ構造及びファイバ伝送路の選定】人工皮膚へセンサを実装するとき、ファイバ伝送路の取り回し自由度が重要となる。そこで、伝送路がループ状になることを回避して実装をしやすくするために、終端反射構造を設けたセンサを採用する目処がたった。2.【各刺激(接触力、振動、慣性力、液体付着、湿度)における最適なセンサ実装法の確立】検出方式の全く異なる刺激に対して感度をもつようセンサを実装するために、それぞれの刺激に合わせたセンサの実装法を考案し、接触力・振動・慣性力に関するセンサはそれぞれの応答性を実験的に検証した。液体付着・湿度に関するセンサは具体的なセンサの設計と試作を進めており、それらの動作検証は次の課題として残っているものの、開発段階の重大な困難は想定されていない。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、30年度の予定は概ね完了し、1.【人工皮膚への実装に適したセンサ構造及びファイバ伝送路の選定】では伝送路がループ状になることを回避して実装をしやすくするために、取り回し自由な終端反射構造を設けたセンサを採用することが効果的と判断でき、また、2.【各刺激(接触力、振動、慣性力、液体付着、湿度)における最適なセンサ実装法の確立】では、検出方式の全く異なる刺激に対して感度をもつようセンサを実装するために、それぞれの刺激に合わせたセンサの実装法が試され、接触力・振動・慣性力に関するセンサはそれぞれの応答性を実験的に検証した。液体付着・湿度に関するセンサは具体的なセンサの設計と試作を進めており、それらの動作検証は次の課題として残っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 設備備品費、消耗品費はほぼ予定通り執行した。 (使用計画) 令和元年度の経費に繰り越して有効利用する。
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