研究課題/領域番号 |
18K11366
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
加藤 宏明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 先進的音声翻訳研究開発推進センター先進的音声技術研究室, 主任研究員 (20374093)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音声情報処理 / 第二言語習得 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語母語話者が内的に持つ音声の時間構造を処理する機構を明らかにし、非母語話者の学習者に母語話者並みに自然な日本語を習得する鍵を与えることである。人間が、時間処理機能に特にすぐれた聴覚の性質を音声コミュニケーションにおいてどのように利用しているかを解明するのがこの研究課題の根底にある問題意識である。日本語学習者の多くが習得に困難を感じる特殊拍すなわち長音、促音、撥音は時間的側面の処理を必要とする点で共通している。これらを体系的に含む音声データに対して、人の聴覚の時間分解能に匹敵する正確さを持つ時間情報ラベルを与えてデータベースとして整備し、この情報を用いて時間知覚に関する仮説を検証することで、最も有望な仮説に則った時間構造処理機構モデルを構築する。 2018年度はデータベースから不自然な発話を取り除くスクリーニング作業を重点的に実施した。これは、当該データベースを用いたモデル推定の精度向上のためである。スクリーニングを終えたデータセットに対して時間情報ラベルを与える作業を順次行った。その他の主要な成果は以下のとおりであった。 英語母語話者の日本語学習者による促音の発音日本語母語話者が評価した結果について講演を行った。正確性(音素として正しい範囲にあるか)と自然性との両面で評価したところ、音素として正しい範疇でも不自然と判断される場合が多くあった。この結果は、母語話者並みの自然性実現のためにはより精密な制御を学習・獲得する必要があることを示す。 韓国語母語話者の日本語学習者による促音の発音を日本語母語話者が評価した結果について学会発表を行った。リズムや強さの不自然性を時間知覚に関する指標を用いて説明することを試みた結果、母音開始点の間隔を用いた指標の説明力が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各要素課題毎には、計画より進んだものもそうでないものもあるが、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に遂行されており、現時点では研究計画の変更は検討していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたPCの購入を取り止めた。既存のものの流用が可能となったからである。一方、データ整備費が当初見込みより増加する可能性があるため、次年度以降は機器購入費を抑えつつデータ整備費を拡充する計画である。
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