本研究では,フォトニック結晶と圧縮センシングの融合により,対象物の分光画像と偏光画像を同時にワンショットで取得できる撮像系の実現を目指している.提案法では,フォトニック結晶を用いたフィルタアレイを従来のモノクロCCDに搭載することでグレイスケール画像をワンショットで撮影し,その画像からL1ノルム最小化による復元問題を解くことで,様々な波長情報と偏光情報を復元する. 本年度は,前年度に試作したフォトニック結晶型フィルタアレイの透過特性に基づき,L1ノルム最小化による画像復元手法を開発した.分光偏光画像の空間,波長,偏光軸全ての相関性を考慮し,4階テンソル空間におけるdecorrelated vectorial total generalized variationとweighted nuclear normのそれぞれをフィルタアレイ撮影の制約の元で同時最小化することで,良好な画像を復元できることを確認した.本年度の成果はOSAに現在投稿中である.これまでの3年間の成果を集約すると,フィルタ感度と復元手法の双方を圧縮センシングに基づき新たに開発し,フォトニック結晶によるフィルタアレイを搭載したワンショットカメラを試作した上で,撮影画像から無偏光分光画像,直線偏光強度画像,RGB画像を復元可能であることが確認された.さらに,当初は予定されていなかった農作物評価への応用検討,およびセンサの実機実装における製造容易性の向上に関する手法開発が期間内に完了し,それぞれMycoscienceとOptics Expressに論文が採択された.
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