本研究は,240フレーム/秒の超高フレームレート動画像を対象とし,データレートを抑えつつ画質を最大化する時空間のレート制御法,およびその符号化への応用を提案・確立することを目的とする. 最終年度に当たる令和2年度は,前年度までに確立した2K240P動画像に対する時間・空間EMOS(Estimated Mean Opinion Score)の推定法を時空間レート制御法に応用し,その妥当性と有効性を検証した.具体的には,当該EMOS推定手法を用いて,1) 最適フレームレートに基づくCBR(Constant Bit Rate)符号化,2) EMOSを一定とするCMOS符号化,3) 画質平坦化,の各レート制御シナリオを実現し,20種類の2K240P試験動画像に適用して検証を行なった.その結果,提案する各レート制御手法により,240フレーム/秒は常に必要ではなく適切なフレームレートが適応的に選択されること,またフレームレートの変動を許容することで従来の定フレームレート符号化と比較して時空間の総合画質が大きく改善可能なことが例証された. 以上により本研究の3年間において,2K240P動画像に対するシーン単位の時間・空間EMOS推定法の確立,およびEMOS最大化に基づく種々の時空間レート制御法と符号化法への応用と評価が達成され,2K240P動画像に対する時空間レート制御手法の挙動と有効性が明らかとなった.
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