研究課題/領域番号 |
18K11371
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
速水 悟 岐阜大学, 工学部, 教授 (90345794)
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研究分担者 |
加藤 邦人 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70283281)
田村 哲嗣 岐阜大学, 工学部, 准教授 (10402215)
木村 暁夫 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00362161)
西津 貴久 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40228193)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 嚥下計測 / 骨伝導マイクロフォン / 照度差ステレオ法 / タイミングの推定 |
研究実績の概要 |
嚥下障害者の誤嚥防止のためには、嚥下能力の把握は最も重要であり、簡便な計測装置は病状の的確な進行具合の把握、治療に役立つ。しかし、現状ではX線による嚥下造影検査や内視鏡検査しか検査方法がなく、侵襲性が高い。一方、非侵襲に嚥下を計測する研究も広く行われているが、口腔内にある嚥下物を計測するにはX線に頼らざるを得ず、嚥下物がいつ飲み込まれたかを簡便に計測する方法は無かった。 これに対して、本研究では、音を発する音源食品を嚥下することにより、非侵襲の計測の実現を目指している。具体的には、耳に装着した骨伝導マイクロフォンから得られた音源食品の音を音響処理により解析し、機械学習・深層学習によるモデル化を行うことで、嚥下物が嚥下され食道に入った時刻を検出する方法の研究を行う。 2018年度は、嚥下機能を非侵襲かつ定量的に計測するために、嚥下時の音の取得と甲状軟骨の動きの計測を行った。音響処理により検出した嚥下時刻と、画像処理により計測した咽頭蓋の閉鎖時刻を比較することで、音源食品が食道に送られるタイミングを推定する方法の検討を行った。音データは、音源食品を飲み込ませ、骨伝導マイクロフォンを用いて録音することによって取得した。この音データから、音響信号処理及びニューラルネットワークによって音源食品が食道に送られるタイミングを推定する方法を提案した。また、3-IR 照度差ステレオ法によって、喉周辺の動画像から甲状軟骨の動きを得ることで、これと同期して動く喉頭蓋の動きを推定した。音データと動画像データから得られた二つの時刻を比較することにより、嚥下タイミングの推定手法とその評価を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、音を発する音源食品を嚥下し、音響処理と機械学習・深層学習によるモデル化を行うことにより、嚥下機能の計測を目指している。具体的には、耳に装着した骨伝導マイクロフォンから得られた音源食品の音を音響処理により解析し、機械学習・深層学習によるモデルを適用することで、嚥下物が嚥下され食道に入った時刻を検出する方法の研究を行っている。 これに対して、2018年度は、音データによる嚥下タイミング推定の有効性を評価した。骨伝導マイクロフォンによって取得した音データに、音響処理とニューラルネットワークによる識別モデルを適用して、嚥下時刻を推定した。画像処理により咽頭蓋の閉鎖時刻を計測した。音データと動画像データから得られた二つの時刻を比較することにより、嚥下タイミングの推定がいくつかのケースでは可能であることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
提案する計測方法の有効性は示したものの、現状では、音源食品から発生する音の頻度が少ない場合や、音にばらつきがある場合の精度向上が課題になっている。これに対しては、音源食品の改良が重要である。またデータのバリエーションを増やすことによってモデルのロバスト性を向上させることや、ノイズ除去についても検討が必要であり、データの作成方法やモデルの学習方法の工夫を行うことで、精度向上を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験のための装置は、既存のものを活用することで、物品費を節約できた。国際会議での発表を計画していたが、今年度は、データ収録と評価実験を行い、学会論文誌への投稿と査読者からのコメントへの対応を優先したため、予定していた海外出張は、次年度に延期した。これらの理由により、次年度使用額が生じた。
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