研究課題/領域番号 |
18K11372
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
後藤 富朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324478)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ブラインド画像復元 / 内視鏡カメラ映像 / ぼけ・ぶれ補正 |
研究実績の概要 |
(1) ブラインド画像復元法の性能評価:提案したTV正則化法とShockフィルタの組み合せによるブラインド画像復元法がどこまでの高性能を有するものなのかを明確にし、他方式との比較を行った。他方式としては、ブラインド画像復元手法の論文において数多く参照されている手法を用いた。その結果、他方式と比較して同等もしくはそれ以上の復元性能が実現できることを確認した。また、他方式のアルゴリズムで画質改善が行えるものを積極的に提案手法に取り込むことで更なる画質改善を目指した。その結果、更なる性能改善に成功し、復元性能の向上を実現した。 (2) 内視鏡カメラ映像へのブラインド画像復元法の適用:提案アルゴリズムを内視鏡カメラ映像に適用し、ワークステーション上にハイビジョン動画像の次世代型ブラインド画像復元システムを構築を目指した。その結果、内視鏡カメラ映像に対してブラインド画像復元法が有効に機能することを確認した。しかし、画像によっては復元画像の画質が改善しない場合があることも確認した。また、学習法におけるデータベースのサイズやGPUの処理性能によってはリアルタイム処理の実現が難しいことも確認した。 平成30年度の実績を踏まえ、平成31年度には内視鏡カメラ映像に対するブラインド画像復元法において画質改善が行えなかった映像に対する検証を進めるとともにアルゴリズムの改良やパラメータの最適化等により改善を目指す。また、学習法のデータベースサイズとGPU処理性能との関係についても調査を行い、リアルタイム処理可能な学習法についての検討も進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画においては平成30年度において、①ブラインド画像復元法の性能評価、②内視鏡カメラ映像へのブラインド画像復元法の適用を計画しており、これらの評価および適用を実現した。しかし、②において画像によっては提案手法が有効に機能しないことも確認した。そのため、平成31年度においては、この点も含めてアルゴリズムの改善および処理の最適化を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、以下の3点について重点的に研究を進める。 (1) 内視鏡カメラ映像へのブラインド画像復元法の修正:平成30年度の研究において、一部の内視鏡カメラ映像に対するブラインド画像復元法の結果では、有効に機能しないことを確認した。そのため、アルゴリズムの改良およびパラメータの最適化により、改善を目指す。 (2) ブラインド画像復元処理の高速化:TV正則化手法およびShockフィルタのパラメータを最適化するアルゴリズムを開発し、復元画質性能を維持しつつ演算時間を従来法に比べ約1/10に改善する。その際、動画像でのフレームの連続性を考慮し、PSF推定の際には前フレームの推定PSFを用いることで、より高精度な推定を高速に行うことを目指す。 (3) ワークステーション上でのリアルタイム処理の実現:ブラインド画像復元手法の種々のアルゴリズムの改良に取り組み、画質改善およびその計算時間を短縮し、ワークステーション上でのリアルタイム動作を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定のワークステーションでは処理性能が充分ではないことが平成30年度の成果により判明したため、平成31年度に購入予定のワークステーションに平成30年度予算の残額を上乗せすることにより、より高性能なワークステーションでの研究を進めるため。
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