研究課題/領域番号 |
18K11377
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
西島 恵介 大分大学, 理工学部, 助教 (30237698)
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研究分担者 |
古家 賢一 大分大学, 理工学部, 教授 (10643611)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シャント音 / 狭窄 / 音響特徴量 / 位置推定 |
研究実績の概要 |
シャント音は狭窄位置では高い周波数が多く含まれているが,狭窄位置から離れるほど高周波成分が失われ,正常なシャント音に近づく。そのため,狭窄位置から離れた位置で収集された音では狭窄の定量化が正しく行えない場合があり,正しい狭窄位置での計測が必要となる。 本年度は複数位置の聴診から得られたシャント音の特徴分析を行い,各計測位置の特徴を表す音響特徴量を提案した。具体的には,各計測位置のシャント音から1脈拍0.8秒を切り出し,ある位置の特徴量をその位置のスペクトログラムから他の位置のスペクトログラムの平均を引いた量と定義した。 正常な複数位置,狭窄のある複数位置のシャント音の各症例から定義した特徴量を計算し,各症例について検討を行った。その結果,正常なシャント音の症例では,吻合部付近に特徴が現れることがわかった。これは,正常なシャント音の場合,吻合部で音が大きくなり,高音も見られるという医学的見地とも合致した。狭窄のシャント音の場合,人による判断とは多少のズレは見られたが,狭窄位置に特徴が現れた。以上により,定義した特徴量が狭窄位置の推定に使用できる感触を得た。 ただし,1脈拍の切り出しは手動で行っており,人により1脈拍の時間も異なるため,切り出し方法を検討する必要がある。また,定義した特徴量のスペクトログラムの周波数軸,時間軸の最適な分割数等を今後検討する必要がある。また,継続して狭窄音の収集を行い,データ数を増やす必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後,1脈拍の切り出し手法,定義した特徴量のスペクトログラムの周波数軸,時間軸の最適な分割数の検討をする必要がある また,継続して狭窄音の収集を行い,データ数を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降については,今年度の進捗状況で説明した検討点について,今後検討を行う。 さらに,シャント音には雑音が含まれているため,雑音抑圧の手法を検討する。具体的にはウェーブレット変換を用いた雑音抑圧を検討する。 また,狭窄位置推定のための計測位置の数,配置等について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた電子聴診器が想定した性能を満たさなかったため,代替品を検討したが,見つからず購入できなかった。 年度末ギリギリに想定した性能を満たしそうな電子聴診器を見つけ,現在試用中である。想定した性能を満たせば,次年度に購入予定である。
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