研究課題/領域番号 |
18K11387
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
岡本 拓磨 国立研究開発法人情報通信研究機構, 先進的音声翻訳研究開発推進センター先進的音声技術研究室, 研究員 (10551567)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音場制御 / 音場収録 / スピーカアレイ / マイクロホンアレイ / アンビソニックス / エリア再生 / 局所再生 / 球面調和関数 |
研究実績の概要 |
1年目は計画通り,2次元平面に配置したマイクロホンアレイ・スピーカアレイを用いた音空間の収録,制御方式および,局所再生方式についての検討を行った. (1)円形スピーカアレイを用いた近傍再生:円形スピーカアレイとその中心に1つのスピーカを配置し,スピーカアレイの近くでは音が聞こえ,離れると聞こえなくなる近傍エリア再生方式を提案した(IWAENC 2018,応用音響研究会招待講演). (2)内部外部混合音場の収録と再現:通常の音場収録・再現では,到来音場(内部音場)と放射音場(外部音場)は区別され,それぞれどちらかを収録・再現する方式しか存在していなかったが,実際の音空間はそれらの混合系である場合が多い.これに対応するために,円形2重マイクロホンアレイを用いた内部外部混合音場の分離方式(従来方式)に,円形2重スピーカアレイで分離した音場を同時に再生する方式を提案した(音講論2018秋). (3)平面マイクロホン・スピーカアレイを用いた3次元音場収録および再現:通常,円形マイクロホンアレイを用いた音場収録は2次元音場を仮定しているため,高さ方向に変化のある3次元音場の収録は難しい.しかし.我々の存在する実空間は3次元音場である.従来法では,複数の円形マイクロホンアレイを高さ方向に2層配置することにより3次元音場の収録を可能としていたが,提案法では,円形スピーカアレイで再生することが目的であれば円形マイクロホンアレイは1層で十分であることを明らかにし.収録音場の音源が平面でない位置にある場合でも,提案法により,水平面上の音場の収録・補完・再現ができることを示した(ICASSP 2019,音講論2019春). (4)円形2重マイクロホン・スピーカアレイを用いて,スピーカアレイの外側には音が届かないような収録・再現方式を提案した(Applied Sciences).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請当初の計画では,収録音場の音源が平面以外にある場合,その音場を円形スピーカアレイで再現するためには,収録側は従来法と同様に高さ方向に2層のマイクロホンアレイが必要であると想定しており,この検討は2年目に行う予定であったが,このような場合でもマイクロホンアレイは1層で十分であることが明らかにできたためである(ICASSP 2019,音講論2019春).
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今後の研究の推進方策 |
2年目は計画通り,3次元音空間の収録と再現を直線マイクロホン・スピーカアレイを用いた方式に拡張する.また,1年目での円形アレイの方式をアクティブマルチスポット再生へと適用する.また,1年目で得られた知見を実環境で実証するためのマイクロホン・スピーカアレイの実装を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたマイクロホンアレイおよびスピーカアレイの実装について,理論検討の結果,さらに簡略化できることがわかったため,実装は2年目に行う方針としたため,その物品購入を次年度に使用する予定である.
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