研究課題/領域番号 |
18K11401
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
塙 大 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (50422506)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遠赤外線画像 / 呼吸 / 非接触計測 / 流量 / 流速 |
研究実績の概要 |
本年度は,生体情報において重要な指標であるヒトの呼吸の流速や流量を,遠赤外線画像を用いて非接触かつ定量的に計測する手法の実現に向けた基礎検討を行った. 具体的にはまず,申請者ら考案した手法を用いて,ヒトの鼻呼吸における温度の時間変化を取得する際の条件(計測可能な人数,カメラの位置,角度など)について検討を行った.計測対象の人数,カメラの位置・角度などを変えて,18パターンの計測を行った.その結果,2名以内のユーザに対して,個々のユーザの顔面全体が計測可能であれば,一定の精度で呼吸部位の自動検出が可能であること,呼吸部位の検出結果を用いて温度およびその時間変化を同時に計測可能であること,ならびに,カメラの光軸方向の回転に対して一定の頑健性が見込めることが明らかとなった. 次に,鼻呼吸を対象に,呼吸の仕方を変えたタスクを3パターン用意し,呼吸中の流速および流量と,呼吸部位の温度との関連性について実験的な考察を行った.その結果,遠赤外線画像の連続フレームより取得した呼吸部位の温度変化の速度と,呼気および吸気における流速との間に,正の相関がみられることなどが判明した.さらに,得られた知見を基に従来法の改良を試みた結果,呼気の流速の推定に対して有用性が見込めることが示唆された.一方,流量および吸気の流速の推定については,十分な精度が見込めず,推定に用いる特徴量および推定手法に関してさらなる検討が必要であることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の基礎検討により,鼻呼吸の流量および流速の推定に対して,鼻腔の温度変化の有用可能性を確認できた.その一方で,申請者らが考案した手法は,特に流量および呼気の流速について,十分な推定精度が得られない結果となった.以上より,本課題の進捗状況は総合的に判断して,やや遅れていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
特に流量と顔面熱画像との関連性について,より詳細な検討を行うことが急務である.そこで,より多面的な計測と分析を行うと共に,推定精度を向上させる新たな方策について検討行う必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定であった計測機器の一部を,連携研究者及び所属機関の協力により,本課題の直接経費を使用せずに準備することができた.また,実験補助作業の一部を無償で協力してもらうことができた.これらの理由により,今年度は当初の予定より経費が掛から ない形で研究が遂行できたため,次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,手法の再検討及び評価に必要な機器の購入,および評価実験の実施に必要な謝金に使用する予定である.
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