本研究課題は,複数の操作者が介在する協調作業におけるチームワークを定量的に解析し,その支援を行うことを目的としている.従来の人間機械系研究の多くは,個人の単独作業に注目しており,人間の意図は操作対象のみに注がれている前提が成立した.しかし,複数の人間が介在する協調作業では,操作対象に加え,他者の影響を伴った操作入力意志決定が行われる.そこで,個人の単独操作モデルを事前に機械学習により構築し,他者の介在に伴う操作量の変化を「気づかい」定量的に抽出する手法を提案した. 本年度は,タスクを単純化し,他者への「気づかい」を含めた協調作業者モデルの構築を試みた.これにより,操作者同志の相性を定量的に計測することを目指した.特に操作者間の力覚的インタラクションに注目し,他者を含めた協調作業者モデルを構築を試みた.その結果,機械学習のしやすさ(学習パフォーマンス)が異なることが明らかになった.すなわち,操作者間の操作入力の相互作用によって,複数の操作者の入力傾向の一貫性に影響を与えている可能性がある.これらは,定量的な相性評価で考慮すべき知見であり,さらに他のタスクで同様の傾向が認められるかについて,今後追究していく. また,さらなる応用に向けて技能伝承に向けた協調作業環境の構築を行った.ここでは,熟練者と学習者の独立したインタフェースを作成し,互いの操作量の影響を「気づかい」として抽出することで,効率的な技能伝承を目指した基礎検討をはじめている.今後,熟練者と学習者の相性に着目した,協調作業システムへの応用を目指す.
|