■研究の目的:人とコンピュータが共存する社会へと変遷する中で、より高度な知能を持ったコンピュータに対して、人はどう感じどう振る舞うのかを、私たちは理解しておく必要がある。本研究は、オフィス会議の場に焦点を合わせる。知能を持ったコンピュータが会議の場で、人にシグナルを送る際に有効なシグナルのあり方――どのモダリティ(視覚、触覚等)をもつシグナルを、どのようなシグナルパターンで、どのような立場の人に送れば、人の振る舞いや心理、ひいては会議にポジティブな影響を与え得るのか――を明らかにする。 ■研究課題:本研究は、会議の場でコンピュータが人に行動の変化を図るためにシグナルを送る際のシグナルの提示方法に関して、次の3つの研究課題を設定した。[RQ1]行動の変容を図るためにコンピュータが人に送るシグナルは、どのモダリティが有効か?、[RQ2]行動の変容を図るためにコンピュータが人に送るシグナルは、どのようなパターンが有効か?、[RQ3]行動の変容を図るためにコンピュータがシグナルを送る相手は、どのような立場の人が有効か? ■研究課題の解決方法 1. Wizard of Oz法(オズの魔法使い法)を用いた実験:上述した3つの研究課題を検証するためには、コンピュータが人間のファシリテータと同程度に知的である必要があるが、現在の技術では実現が困難である。そのため本研究は、Wizard of Oz法を用いて実験を行う。 2. 企業のリアルな会議をフィールドとした実証実験:会議における人の社会的行動を、従来の実験室実験で観察することは極めて困難であることが予想される。そのため本研究は、企業の実際の会議を対象にして、実証的研究を行う。 ■本年度の実績:3年目である本年度は、追加の実験を実施し、収集したデータの分析を行った。また各実験の分析から得られた知見を総括した。
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