研究課題/領域番号 |
18K11436
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
吉田 哲也 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (80294164)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情報工学 / 機械学習 / 社会ネットワーク分析 / コミュニティ発見 |
研究実績の概要 |
利用可能なデータの量や種類の増加に効率的に対処するため,多様な価値観に応じてネットワーク上の資源を効果的に活用するための技術の確立が求められている.そこで,このような技術の確立を目指して,本研究では,線グラフに基づくネットワークからの多重コミュニティ発見の定式化,定式化に基づく多重コミュニティ発見アルゴリズムの開発,開発するアルゴリズムの計算機システムとしての実装,の実現に取り組む. 上記の目的を実現するために,本年度は,申請者が従来から研究を進めてきたグラフ構造に基づく学習手法を発展させることを通じて,グラフ構造に基づいて多重コミュニティ発見を行う手法に対する基礎理論の確立を目指した.具体的には,下記の項目を実施した. (1) ネットワークからのコミュニティ発見に対する既存研究のサーベイを行い,多重コミュニティの扱い方と,グラフ構造に基づくアプローチにおける課題を整理した. (2) グラフのノードをコミュニティに割り当てることが多重コミュニティ発見を阻害することに着目し,グラフのノードではなくリンクをコミュニティに割り当てて多重コミュニティ発見を実現するために,グラフ理論における線グラフの活用を検討した. (3) 上記(2)により,ネットワークのグラフ構造を線グラフに変換する際,既存の線グラフではネットワークにおけるリンクの重み情報が失われてしまうという課題に対し,ネットワーク上の酔歩に基づいて線グラフにおける辺の重みを定義することにより重み情報を保存することを定式化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,主としてグラフ構造に基づいて多重コミュニティ発見を行う手法に対する基礎理論の確立を目指して研究を進めたため,既存研究のサーベイを通じて多重コミュニティ発見へのアプローチや課題を明確にすることはできたものの,検討した課題をすべて解決することにはまだ不十分なため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施した,グラフ構造に基づいて多重コミュニティ発見の定式化を更に進めるとともに,定式化に基づく多重コミュニティ発見アルゴリズムの開発を行い,開発するアルゴリズムを計算機上にプロトタイプシステムとして実装することを検討していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度は,主として既存研究のサーベイや,サーベイを通じて明らかにした課題を解決するための定式化の検討を優先して研究を実施したために,アルゴリズム開発用計算機の購入や,評価・検証用のストレージやサーバの購入は次年度以降に行うことになったから. (使用計画)本年度に実施した準備に基づいて,本年度に行った定式化を更に進めるとともに,定式化に基づく多重コミュニティ発見アルゴリズムの開発を行い,開発するアルゴリズムをプロトタイプシステムとして実装するためのアルゴリズム開発用計算機を購入する予定である.
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