研究課題/領域番号 |
18K11437
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田中 宏季 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10757834)
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研究分担者 |
中村 哲 奈良先端科学技術大学院大学, データ駆動型サイエンス創造センター, 教授 (30263429)
岩坂 英巳 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70244712)
根來 秀樹 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (80336867)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 対話システム / マルチモーダル / 感情コンピューティング |
研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症児をはじめとした社会的コミュニケーションを苦手とする方々のための訓練手法として医学的に確立・実証されているソーシャルスキルトレーニングを反映したコンピュータ対話エージェントの構築を目指す。これまで、SSTの自動化に向けて、話すスキルおよび聞くスキルについて、改善するべき項目の同定、およびそのフィードバックの効果について検証を進めてきた。本年度は、聞くスキルに関してその評価項目の同定を試み、相槌および頷きの明示的な手がかりが対話スキルに重要であることを新たに発見した。またそのタイミングや頻度についても分析を進め、その結果を学術論文にまとめた。加えて本年度は、新たな対話モジュールを開発した。具体的には、対話エージェントのキャラクターを変更し、SSTの4つの基本スキル:話す、聞く、頼む、断る、をSST教本およびデータ収録に基づき実装した。またSST中における言語的な特徴を分析することにより、より話の内容にまで踏み込んだ一貫性、語彙の使用、話の構造の分析に着手した。対話エージェントと対話中のユーザの感情あるいは、対話内容に関する違和感を検出することを目指して、脳波EEGを用いた単一試行での脳活動の解析技術にも取り組んだ。具体的に、注意機構付きLSTMにより、意味的な違反を人間が知覚した際に、脳波から有意にその状態を検出することができた。今後は上記の研究を発展させていき、実際に自閉スペクトラム症児の支援に向け、適用させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、対話システムの基盤を構築し、その効果を検証できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度であるため、SSTトレーナと自閉スペクトラム症の対話データを収集し、その対話部分をエージェントに組み込む予定である。これまでの基本対話システムとの統合をし、効果の実験的評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の対話エージェントは、SST教本および小規模の人間のトレーナのデータに基づいて作成されている。より大規模な人間のトレーナデータに基づいた対話エージェント構築を目指すため、一部データ収集に関して次年度に持ち越すこととした。
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