研究課題/領域番号 |
18K11437
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田中 宏季 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10757834)
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研究分担者 |
中村 哲 奈良先端科学技術大学院大学, データ駆動型サイエンス創造センター, 教授 (30263429)
岩坂 英巳 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70244712)
根來 秀樹 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (80336867)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 仮想エージェント / 自閉スペクトラム症 / コミュニケーション支援 |
研究実績の概要 |
Gretaを用いた仮想エージェントの基盤を構築し、SSTにおける有効性を検証した。また、セラピストとの相性を考慮した仮想エージェントの設計についても検討を始めた。 さらに、SSTにおける全体の対話シナリオを作成し、その有効性を検証した。以下にその概要をまとめる。 人間の社会的スキルを高めるために自動化された社会的スキルトレーニングが提案されているが、仮想エージェントからどのような種類のフィードバックが効果的であるか、およびそのようなシステムがユーザーの社会的自己効力感をどの程度高めるかという2つの側面は十分に検討されていなかった。我々は、ルールベースのソーシャルスキルトレーニング過程に従う自動化された社会的スキルトレーナー+を開発し、2種類のフィードバックを実装した:1)画面表示されたフィードバックの要約、2)以前のトレーニングの結果に基づくフィードバック。開発したシステムを使用して、社会的自己効力感、フィードバック評価、トレーニング前後の参加者を撮影したビデオに対する第三者による評価、および社会的反応の尺度を測定した。 結果として、自己効力感は社会的反応の尺度と有意に相関しており(r = -0.72)、我々のシステムで向上することができた(平均改善0.68、p <0.05)。参加者は、過去のトレーニングと比較したフィードバック(16名のうち14名、p <0.05)を、それがない場合よりも高く評価し、画面表示された要約フィードバック(16名のうち11名、p = 0.21)を、口頭でのコメントよりも高く評価した。結論として、我々のシステムは、ユーザーの自己効力感と第三者の評価の観点から、フィードバックを効果的に提示することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、データ収集および基礎システム(自動ソーシャルスキルトレーナー+)を開発し、その有効性について検証することができた。その中で、仮想エージェントの基礎を構築することができ、今後の発展に繋げることができる。
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今後の研究の推進方策 |
仮想エージェントを用いて、より人間のトレーナが行うソーシャルスキルトレーニングに近い対話を達成していくことを目指す。具体的には、本年度収集した人間の対話データに基づいて発話認識、対話戦略部分に焦点を当て研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、コロナ関係により予定していた出張などがなくなり、対話システムおよび仮想エージェントの構築に時間を使うことができた。しかし、幾つか予定していたデータ収集および実験も延期となったため、次年度使用額が生じた。次年度は、仮想エージェントの改良、および実験的評価に予算を使用する予定である。
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