子どもの運動機能アセスメントのための行動識別(Activity Recognition: AR)に関し、項目A)粗大運動識別アルゴリズムのロバスト化〈識別機能の向上〉と項目B)運動発育アセスメントのAI化〈評価機能の実現〉を達成するため、粗大運動AR[Phase-I]、アセスメントAR[Phase-Ⅱ]、運動発育AI[Phase-Ⅲ]の確立に段階的に取り組んだ。 本最終年度では項目A完遂のため、前年度成果の時系列運動画像化を改良したデータ拡張法でデータベースを充足(延べ210名分/累積約240時間分から170万点データ生成)し、深層学習モデル改良で撮影条件に対するロバスト性を向上させて、既存評価法TGMD-3の粗大運動13種類/200評価項目に関してAR判定精度99.3%を達成した。 項目Bに関しては、Grad-CAM判定理由可視化とVAE不具合動作可視化を提案し、運動発育指南のためのExplainable AIの設計法を示した。特に前者については、TGMD-3評価者によるAI判定結果の納得度テストを行い、AI推定と人間判定の一致度・根拠についての質的分析を経て、説明能力の高いAR向け深層学習モデル構成を求めた。後者では、個々人の粗大運動の改善を促す機能の具現化に加え、本アセスメント自体の簡略化に貢献し得る判定項目適正化の可能性も示せた。 以上に加え、コロナ禍による現地測定困難の方策として、運動撮影+AI判定+運動指南を可能とするiOSアプリ/ITシステム【GM Grande】を開発し、上記AI成果を実装した。園にてフィールドテストを実施、測定件数が少ない(10名、種目数3-10割実施)ながらも、TGMD評価認定者と平均71%の個人差範囲程度の良好な一致率の判定ができた事を確認した。 以上、粗大運動の行動識別/評価/運動指南のAR/AIを確立し、当該研究計画を遂行した。
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