ある一定の周波数によって同期され計算される電子計算機とは異なり,人間の意志決定は非同期かつ連続的に到着する環境からの情報を処理するシステムであるといえる.しかしながら,従来の経済行動に関するエージェントモデルは,同期された時間経過を前提としたために合理的に振る舞うか,それともノイズを含んだ非合理的な振舞いを見せるかの二元論に回収されてきた.本研究では,そのような同期的な意志決定における時間原理に対して,非同期的な時間に基づく意志決定モデルとして,ベイズ・逆ベイズ推論に基づく意志決定モデルに基づいた分析を行うことで,二元論に膠着しない人間の意志決定に関する理論を提案した.
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