研究実績の概要 |
Dudaは,ストリーム型データ圧縮アルゴリズム非対称2進数系(asymmetric binary systems (ABS))を提案した.ハフマン符号に基づくデータ圧縮装置とストリーム型 ABS を用いたデータ圧縮装置を比較し,同程度のデータ量を圧縮するならば,ストリーム型 ABS を用いた装置の方が,データ圧縮率が大きく,符号化および復号化スピードが共に速いことを実証した.Yokooはストリーム型 ABS が正しく動作しないような確率 p と状態パラメータ l の存在を明らかにし,アルゴリズムが正しく動作するための必要条件を与えた.本研究では,ストリーム型 ABS のアルゴリズムが正しく動作するための, p と l に関する必要十分条件を与え,Yokooが提起した公開問題を完全に解決した[IEICE Trans. Fundamentals, 2020].
5G移動体通信に用いられる,Arikanが提案した分極(Polar)符号の発展として,一般化消失通信路に対する多段分極に基づく多元分極符号の構成法,符号化法,復号法の提案とその性能評価を行った.本研究代表者は,多段分極に基づく多元分極符号を,環上の加群への作用とみなし,確率解析の手法を用いて,多元分極符号の極限分布を与えるのに貢献した[IEEE Trans. IT, 2020].
Sawadaらは,任意のnに対して,O(n)のメモリを用いて,1ビット当たりならし計算量O(1)で,長さk^nの,単一のk(≧2)進de Bruijn系列を生成するアルゴリズムを発見した.本研究では,極大k進ネックレスを導入し,長さnの極大k進ネックレスの総数の公式を得た.その結果,任意のnに対して,上記アルゴリズムで生成された3進de Bruijn系列の時刻t=|n|のときの自己相関関数の公式を導出した.結果をIEEE ITW2021に投稿した.
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