研究課題/領域番号 |
18K11466
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
泰中 啓一 静岡大学, 創造科学技術大学院, 客員教授 (30142227)
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研究分担者 |
吉村 仁 静岡大学, 工学部, 教授 (10291957) [辞退]
守田 智 静岡大学, 工学部, 教授 (20296750)
一ノ瀬 元喜 静岡大学, 工学部, 准教授 (70550276)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 格子ロトカボルテラ模型 / メタ個体群 / ネットワーク / じゃんけんゲーム / 反応拡散方程式 / スモール・ワールド / 新型コロナ感染症 / ランダムウォーク |
研究実績の概要 |
本研究は、代表者が初めて導入した格子ロトカボルテラ模型を用いて、複雑系を研究してきた。とくに生態学、生物進化および生物の調節機能を対象にし、実験・観測結果の説明だけでなく、実験の指針となるような理論を追求してきた。
格子ロトカボルテラ模型。動物は餌探索などの目的で移動する。これまで格子上の餌探索はランダムウォーク(RW)が使われてきた。しかし、多くの捕食者は、RWとは異なり、長距離移動や探索行動をする。長距離移動の効果を調べるため、スモール・ワールド性や交通流モデルを使って研究をしてきた。さらに生息地が空間的に離れている「メタ個体群モデル」を考え、生息パッチ間の移動と生物多様性(絶滅)との関連を調べてきた。メタ個体群モデルでは、生息地パッチをノードと見なし、パッチ間の経路をリンクと見なす。Ecological Informatics (2021)の論文では、空間パターン形成の仕組みを解明する試みを行った。
本年度では新型コロナ感染症(Covid-19)の研究にも力を注いだ。成果として2つの論文が出版された。(1)J. Phys. Soc. Japan (2021)の論文では、感染症の広がりについて調べた。スモール・ワールド効果によって、病気は瞬く間に広がった。これは理論的ではあるが、旅行や遠くに外出することの危険性を示唆している。(2)Scientific Reportsの論文では、新型コロナウイルス感染症における検査を受けていない感染者の移動が、感染拡大の重要な要因となっていることを解明した。本研究では、従来のSIRモデルを発展させ、感染者を隔離者と非隔離者に分けたモデルを構築し、シミュレーションと平均場理論によって研究を進めた。検査の回数や頻度を増やすと、ロックダウンと同様の効果が得られること、また検査陽性感染者の総数が減少することを明らかにした。
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