人間社会において発生する様々な問題は,人々でアイデアを出し合い評価し合い(相互作用)ながら解決されることが望まれる.そのような問題解決を支援・実行する技術として,人間ベース進化計算というものがある.この技術は,生物の進化に着想を得た最適化手続きである進化計算を,Webサイト等を実行場として計算機ではなく人間が実行するものである. 計算機を用いた最適化ツールである進化計算の研究はこれまで進展が著しく,それを基礎とする人間ベース進化計算も発展の可能性が大いにある.その発展を促進するためには,これまで実施されてこなかった本技術の汎用性を向上する取り組みが必要である.汎用性を高めるためには,問題解決を行う人間の貢献意欲をいかに高め,維持するかが重要である. 昨年度実施した実験の結果は,参加者の貢献機会を一律にした上で,量ではなく質で参加者を評価して周知することが,参加者の貢献意欲向上・維持に有用で,かつ効率のよい問題解決を可能にすることを示唆した.そこで本年度は,参加者の解探索への貢献の質を評価して参加者全体に周知する具体的な方法を考案・実装し,確かにその方法が参加者の貢献意欲向上・維持をもたらし,また解探索にかかる時間の観点から高い効率をもたらすことを実験を通じて示した.
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