研究実績の概要 |
本年度は, 結合発振器系の自由度を変化させた場合の近似理論解導出を主な課題とし, その特徴の抽出を試みた. その主な概要と成果を以下で記す. 5次多項式で表される負性コンダクタンスを有する非線形発振器について, その増幅の程度が弱く弱非線形結合発振器系とみなせる場合を対象にして摂動法の一種である2つの時間スケールを仮定した平均化法を用いて導出した近似理論解の導出を行った. 特に, 本研究で振動モードの縮退を考慮した場合の解の導出とその安定性を結合数を5から7の範囲で変化させた場合の結果を得ることに成功した. 結合個数が5の結合系を対象にした成果では, 前年度までに得られていた波動解に加えて, 空間的に移動しない準周期振動に相当する解が多数共存しうるという結果が得られた. また, これらの解は結合発振系における多様な時空間パターンを示す解に相当することを示し, その安定性も同時に評価した. 次に, 結合個数を増やした場合の波動解が持つ各モード振動の位相関係に着目した研究を行なった. 結合個数が7個の場合ではそれよりも小さな結合系では現れなかった位相関係が現れることを理論的に導出することに成功した. また, これらの結果は, 系の微分方程式の数値積分により得られるシミュレーション結果によりその妥当性を示した.
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