研究課題/領域番号 |
18K11485
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
三浦 佳二 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60520096)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | deep learning / Tropical geometry / neural coding / information geometry / default mode networks / noise correlations / nonstationarity |
研究実績の概要 |
脳の研究においては,ある神経細胞がどんな感覚刺激に応答するのかを調べるのが慣例であるが,近年は何も刺激が無い時の活動も注目されつつある.そして意外なことに,この背景活動は大きく変動する一方,刺激に対する応答は実は相対的に小さい事が報告された.本課題では,はたして脳は,背景活動が大変動する中,どのようにして感覚刺激を認識できるのか,の解明を目指す.背景活動を考慮した新規脳情報処理モデルの導出は,より精度の高い脳信号解読を可能とし, 深層学習の設計指針を与え,脳疾患の病因解明にも繋がりうると期待される.昨年度までには,一次視覚野を例に,変動に対して恒常性を持つ脳の仕組みを明らかにする目的で,特に,背景活動成分を分離除去した残さ活動が,細胞間でどの程度同期しているか,を情報幾何学に基づいて推定できる相関の指標を新規開発し,2019年度には学術雑誌eNeuroにおいて論文を出版した.この論文の日本語での解説としてYouTube動画を2020年に作成し公開した.本年度はさらに,視覚情報処理のモデルとして最も性能が高いとされる深層学習の性能を理論的に評価する試みを始めた.ReLU型の活性化関数はトロピカル幾何学を用いて手計算により理論解析が可能であるため,ある問題を解くのに何層必要となるかを,試行錯誤ではなく,理論的に予言することを目指している.予備的な成果は生理研研究会「力学系の視点からの脳・神経回路の理解」での招待講演として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5件の学会発表を行い積極的に議論することで,研究の方法論の幅が広がった.YouTube動画という形で,本研究課題の英語論文成果を,日本語で解説する試みも始めた.
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今後の研究の推進方策 |
視覚情報処理のモデルとして最も性能が高いとされる深層学習の性能を理論的に評価する試みを行う.特にReLU型の活性化関数はトロピカル幾何学を用いて手計算により理論解析が可能であるため,ある問題を解くのに何層必要となるかを,試行錯誤ではなく,理論的に予言することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していた外国旅費も不要となり、計算をノートPCでなるべく済ませて、大型計算機を使わなかったこともあり、繰越が生じた。次年度における使用計画としては、これまでの課題遂行中に蓄えた必要計算機スペックのノウハウも活かす形で、深層学習用の大型計算機の購入を予定している。
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