研究課題
基盤研究(C)
神経回路の興奮性と抑制性のニューロンは、その数と強度が均衡し(興奮抑制均衡)、多くの神経機能を担保している。非定常な入力を処理する系において、均衡状態はシナプス学習によって動的に組織されるべきであるが、そのための最適な学習関数が不明である。また、均衡にとっての最適な学習関数と、情報処理にとっての最適な学習関数は同一であろうか。そこで本研究は、興奮・抑制シナプスにSTDP学習則を持つ相互結合型神経回路において、均衡とその情報処理的観点から、最適なシナプス学習関数を導出し、この問いに答えた。
計算論的神経科学
本研究でターゲットとした抑制性シナプスのSTDP学習は実験的にも発見されたばかりであり、抑制性シナプスにSTDP学習を持つ神経ネットワークの機能解明はいまだ不十分であった。興奮性シナプスにSTDP学習を持つ神経ネットワークで見られた欠点が、本研究の抑制性シナプスのSTDP学習の導入によって克服されれば、抑制性シナプスのSTDP学習の新たな機能を発見したこととなり、当該研究分野に大きなインパクトを与えられると考えられた。この目的はある程度達成された。