本研究では、分散型の無人機航空管制システム(UTM)をBlockchainを用いて構築し、性能評価及び可用性について調べた。FAAによるUTMのモデルは中央集権的であり、サービス業者(UASSP)が複数存在しても、空域情報を管理するサーバは中央に置かれて国の機関が管理するものとなっている。UAVは有人機と違い、フライトできる時間や距離が短いため、利用する周囲のUAV利用者間で情報を共有すればよく、分散型にすることで、プライバシー等の問題や、セキュリティについても、一元管理より遥かに攻撃の蓋然性が低くなると考え、開発に及んだ。 本研究で構築したシステムでは、Blockchainを用いた空域予約管理システムと、予約を受け入れられなかった航路に対する航路の再構成を自動的に行うシステム、920MHz無線による相互の位置情報を通知するシステムまでを実装した。Blockchainを用いた空域予約管理システムは、空域を3次元占有格子として表現し、占有すべき領域をビット列としてデータ化し、1つの航路を1トランザクションとして表現して、そのような航路の空域を『購入する』と見立ててBlockchainを用いて台帳管理を行う。このシステムでは予約航路を事前に狭いエリアで周囲と共有するので、もし想定航路で他の航路と交錯する場合は、事前に他のUAVがどのように通るかが分かるので、そのデータの上で航路の再構成を行うパスプランニングアルゴリズムを動かすようにした。実際にフライトしている時点では、920MHz無線によって相互に位置情報を通知しながらフライトする。 本研究のソースコードはhttps://gitlab.com/pastalian/blockchain_utm/に公開している。
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