研究課題/領域番号 |
18K11492
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
王 志東 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40272017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自律分散制御 / マルチロボット / 群効果 / 群逃避 / センシングの異方性 / 自律マルチ移動ロボットシステム |
研究実績の概要 |
本研究では、生物の群れの回避行動を模倣し、Boidモデルに基づいて仮想インピーダンスベースのSchooling行動や群反射的逃避モードのダイナミックスに帰還する緊急回避行動を実現し、群に複数サブグループの関係性を条件とした単方向性を有する個体間の逃避モードの相互作用ダイナミックスモデルを設計した。構築したマルチロボットシミュレーションシステムおよび実機検証システムを用いて、ロボット個体にマルチダイナミックスモードによる群緊急停止行動の基本検証を行った上、忘却特性を有するメモリ型のグループ間相互作用を有する複雑環境での群緊急停止行動の手法を提案し、計画した協調手法の有効性及びシミュレーションシステムの正確性を検証した。 さらに、走行中の車両の不確実性を有するセンシング遅れおよび停止制御の遅れをモデル化し、数値シミュレーションシステムにて、異なる遅れの不確実さ分布から群停止特性への影響を分析し、追突平均相互作用数と停止後のロボット間距離の最短値の関係の解析を行った。さらに、追突の確率の高いロボットのセンシング遅れと直前車両の停止特性の各停止パラメータの特徴を分析し、群停止行動手法によって移動ロボットシステム全体の安全停止の性能向上に寄与した結果を得て、実システムで応用する際の群停止に基づく協調制御の有効性及び特性をより明確した。 他には、小型対向二輪型移動ロボット実機に搭載するRGBD高速センサのオンボード画像処理コンピュータとセンサの更新により、高速センシングの安定性が向上でき、周囲のロボットの運動状態の変化をより高精度に観測でき、異なる視野範囲とサブグループの相互作用をより正確に実装し、特性を検証できる実験環境を整備した。次年度に行う予定であるより高度な群停止の検証実験に寄与すると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
群逃避における基本的な緊急停止モードの相互作用の制御則の設計と実装の課題、そしてサブグループを有する群ロボットにおける自律反射型の協調運動制御の特性検討と解析は、計画通りの成果を得た。 特に、ロボットの緊急停止における異なる遅れ要素の影響および群停止による停止性能の不確定要素の軽減効果について、統計的なシミュレーション実験を行い、サブグループを有する群停止アルゴリズムの効果の定量的な結果を得て、提案する手法の有効性を示した。 昨年度と今年度で得ていた複数のグループを有する群システムの群逃避を実現した基本制御則および群停止の安定性向上の成果を国内会議に発表したうえ、より包括的な研究成果を関連安全ロボティクスの研究分野の国際会議 2020 IEEE International Conference on Intelligence and Safety for Robotics (IEEE ISR 2021)にて発表し、技術面について同分野の研究者と意見を交換した。
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今後の研究の推進方策 |
実機システムとシミュレーションシステムの併用により、群逃避のダイナミックモードの伝搬特性を検討し、確率モデルにより、異なるサブグループ間の相互作用制御手法におけるモード伝搬特性およびセンシングと行動の不確実性からの影響の群行動モデルの確立を目指す。 最新の点群処理のアルゴリズムの性能改善を試み、検証実験の群効果の検証精度を向上すると共に、異なる運動制御遅れによる群停止特性の検証と、グループ特性を有する群逃避制御則の実機による特性検証を進める。
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