研究課題/領域番号 |
18K11497
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
梅津 信幸 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (30312771)
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研究分担者 |
矢内 浩文 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (10222358)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オブジェクト認識 / 深層学習 / 輝度ヒストグラム / 画像特徴量 |
研究実績の概要 |
1年目は、主として下記の3項目に取り組んだ。 (1) 深層学習による領域分割と領域ごとの着色手法の開発 すでに開発済みの、個別の物体(人の顔、樹木、空や 雲)への着色手法に基づいて、建物、服飾、周囲の環境にある物体への着色法について開発を進めた。それらの着色の基準となるカラーの高解像度画像を事例ベースとして収集し、深層学習を用いて特徴を学習させたが、より多数の事例データおよび効率的なデータ増強について模索する必要がある。 (2) レストア結果の数値的評価指標の考案 レストア処理(着色、高解像度化)の開発には、繰り返し出力される結果画像の品質をコンピュータで自動的に評価する指標が有用である。正解データが存在する事例について、既存のPSNRやSAD、SSIMなどの指標では十分な評価が困難なことが、ユーザ実験から確認された。より有望な特徴量やそれらの重み付けについて次年度以降も検討・実験を進める。 (3) 効率的なユーザ評価実験の設計 実験で参加者に提示できる刺激(レストア結果)の数には限りがあり、提案手法で様々なパラメータを変化させてその影響を全数探索的に調査することは不可能である。したがって、まず小規模な実験を通じてフォーカスすべき画像特徴を絞り、次年度以降の実験に最大限に活用できるよう計画を作成した。 第2, 3年度の計画には、モノクロ写真に特化した高解像度化手法の開発、対面によるユーザ評価実験、インターネット経由による評価実験と手法の最終調整、報告書の作成および成果公開、博物館および市の関連施設での展示・公開を含む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた3項目はほぼ順調な進展が見られているが、当初の予定よりより多くの画像データ(事例)の収集が必要なことが判明したため、(2)おおむね順調、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は下記の2項目を中心に研究を進める。 (1) モノクロ写真に特化した高解像度化手法の開発 入手可能なモノクロ写真の多くは1000×1000画素程度なのに対し、現在の典型的なデジタルカメラは4000×3000画素以上がカラーで記録できる。このようにデータ量にして10~20倍の差を埋めることは本質的に推定問題となる。そこで、モノクロ時代の写真の感光剤の特性を考慮するとともに、同一の場所・構図で撮影した新旧の写真の比較から、画像の各領域単位でマッチングし現在の高解像度な色データを割り当てる推定処理を開発する。幸い、茨城県各地の過去と現在を対比した写真集(写真集 日立・高萩・北茨城の今昔, 郷土出版社, 2008)により約200の実例データが存在するため、これらの特徴を機械的に学習し精度を漸進的に高める。 (2) 対面によるユーザ評価実験 第一段階として、20~30名の参加者に対して対面で実験を行う。評価対象は主に前年度までに構築した着色手法の結果とし、その知見を次の大規模実験に反映する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が購入したソフトウェアが当初見込みより安く購入できたため、少額の残額は次年度の利用とした。 次年度にはPC(iMac)および結果確認用の4Kディスプレイなどの購入に充当する予定である。
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