研究実績の概要 |
本研究の目的は,モノ(例:製品)やコト(例:旅行)に関して人々の抱く感性の過程を数理的にモデル化し,モノとコトに関する感性をコンピュータ上でシミュレーション可能とする仕組みを開発することである. 本年度は,昨年度設計した数理的なモデルを用いて人が音楽から抱く印象を推定し,それを用いて人の気分をポジティブに変化させるプレイリストの設計とその評価実験を実施した.楽曲に対する印象は,感情をモデル化に用いられている覚醒度を参考に,「Low」 (とても活動的ではない), 「Low-Middle」 (やや活動的ではない), 「Middle」 (すこし活動的ではなく,すこし活動的である), 「Middle-High」 (やや活動的である), 「High」 (とても活動的である)とした.人の心理を評価する指標としては,ポジティブ情動を計測するPANAS(The Positive and Negative Affect Schedule)と多面的感情評価尺度を用いて評価した.プレイリストに利用した楽曲は歌詞のあるポップス楽曲を用いた.その結果,楽曲の印象を良い精度で推定できたことにより,人の気分をポジティブに変化させることに成功した.また,人の気分をポジティブに変化させるためには,必ずしも知っている曲である必要はなく,楽曲のもつ印象が重要であるという結果が示された. その結果を論文としてまとめ,the International journal of Affective Science and Engineering に採録されることとなった.また,昨年度に,実験した結果をまとめて,ISIS 2019 & ICBAKE 2019において発表を行なった.
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