研究課題/領域番号 |
18K11514
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
石本 祐一 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, プロジェクト非常勤研究員 (50409786)
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研究分担者 |
榎本 美香 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (10454141)
寺岡 丈博 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30617329)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自発発話 / 日常会話 / 韻律 / 個人差 |
研究実績の概要 |
多様な種類の日常会話をバランス良く収録した大規模コーパスである『日本語日常会話コーパス』(Corpus of Everyday Japanese Conversation; CEJC)モニター公開版(2018年度・2020年度)を基に、日常会話音声の基本周波数の多様性について分析した。音声の発話の基本周波数(F0)の分布を『日本語話し言葉コーパス』(CSJ)と比較して調べた。発話単位の平均F0を見たところ、CEJCに収録されている日常会話音声のF0はCSJ収録の自発発話音声よりも2倍近い広さの分布を示した。特に、CEJCではCSJよりもF0が高い発話が多く見られた。さらに個人ごとのF0に着目して分析したところ、会話場面によって異なる高さで発声しており、会話の対象が友人や仕事相手であれば高く、家族であれば低く発声する傾向にあることがわかった。 読み上げ音声や独話では基本的に発話はどれも同じ高さで始まり、発話中にF0が段々と下がっていって、発話末には同じ高さまで下がり切ることが多い。しかし、CEJCでは発話が高いF0で始まらない、発話末でF0が下がり切らないといったことが生じていた。すなわち、これまで自発発話の分析に用いられてきたCSJの音声とも異なる特徴を日常会話音声が持つことが示された。これにより模擬会話などによる既存の会話音声コーパスを用いた分析では普段の生活の中に現れる音声の特性を捉えきれない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、分析対象データとして新たに加える予定であった非対面環境の自発会話の収録および整備の実施することが困難な状況が続いているため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も新規データ収録が困難である場合は既存自発会話コーパスを中心とした分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析対象として追加する予定であった非対面環境会話データの収録および整備に予定よりも遅れが生じたため。
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