筆跡を見て,不自然に書かれたものかどうかを検知する方法を研究した.本研究では,不自然な筆跡の代表例として,敷き写しされた筆跡(透写筆跡)を対象とした.まず,専門家が筆跡を見て,画線のどのような質感に着目するかを調査した.次に,ペン先の速さや筆圧などの書字ダイナミクスとの関係を調査した.さらに,筆跡画線を撮影し,色や光沢などの物理的特性を取得する偏光型複眼カメラを開発した.以上の実験結果を総合的に考察したところ,偏光比画像の画素値を手がかりとして,画線の始筆部,終筆部の運筆の停滞を検出するとともに,画線内の画素値の均一性を評価することにより,透写筆跡を検出できる可能性があると考えられた.
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