研究課題/領域番号 |
18K11520
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西 羽美 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40745121)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / ハプティクス / 分子ドッキング |
研究実績の概要 |
タンパク質をはじめとする生体分子の立体構造研究においては、人間による目視での観察が欠かせない。近年の構造決定技術やタンパク質工学の進歩に伴い、たとえば巨大な複合体の一部を取り外すなど「分子模型のように手を使って自由に分子を観察したい」というニーズが高まっている。そこで、本研究ではこれまでの成果と反響を踏まえ、更なる発展として触感技術(haptic technology)を用いた触感フィードバックを取り入れつつ、VRの特性を生かした機能も盛り込み「生体分子を人間の手で自由に触り自然に操作するための統合研究プラットフォーム」を開発することを目的としている。本年度はこれまでの成果を国際学会にて発表した他、関連技術の調査及び触覚技術の利用に着手した。具体的には、ISMB2018にてポスター発表と情報収集を行った他、日本バーチャルリアリティ学会年会およびIEEE VR2019に参加して情報収集を行った。特に、ISMBではイギリスの研究者が本研究と同様のコンセプトでVRを用いた分子表示についての発表を行っており、今後注視していく必要がある。また触覚技術については、アラクノフォース社のSPIDAR-GIIを購入し、力覚を伴った分子ドッキングの実装に取り掛かりつつある。分子ドッキングの実装はもともとの計画には含まれていないが、構造変化を伴わない分より簡便に実装が可能であるため、本来の計画にある動的な構造変化とその力覚提示の準備段階として適切であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来、初年度は触覚技術には着手せず、あくまで仮想現実技術を用いた分子表示の周辺要素の拡充(基本的可視化機能の充実など)に取り掛かる予定であった。しかし、今年に入って本来想定していたよりも相当に安価なハプティクスデバイスとして、東京工業大学名誉教授の佐藤誠氏が開発したSPIDARが一般に入手可能となったことを受け、急遽触覚研究とその準備を優先させた。そのため、全体として研究内容の順番が前後し、若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き力覚提示デバイスを用いた分子ドッキングの実装を進め、最終的な目標である力覚を伴った簡易分子シミュレーションの開発へと繋げる。また、初年度に取り掛かることのできなかった、VRを用いた要素技術についても開発を進める。
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