研究課題/領域番号 |
18K11520
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西 羽美 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40745121)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / ハプティクス / フォールディング |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に開発した粗視化モデルに類するシステムでの力覚提示の実装を予定していたが、2021年7月に高精度の立体構造予測器のAlphaFold2が広く公開された事、また多数の生物種の全タンパク質に対して予測構造を収めたデータベースであるAlphaFold Structure Databaseが公開されたことから、当初の計画を変更しAlphaFoldの予測構造の可視化と、その情報に基づく力覚表現に取り掛かることにした。 AlphaFoldの予測ではいわゆる原子の3次元座標の他に、予測の信頼度を表現するpLDDTおよびPAEと呼ばれるスコアが各残基ごとおよび各残基ペアごとに出力される。このpLDDTは事実上、構造のフレキシブルな領域(天然変性領域等)を見出すのに利用可能である。また、PAEは各残基ペアの相対配置の信頼度を表すが、これは各残基の相対配置の自由の度合いと読み替えることもできる。そこで、この二つの情報を用いれば、疑似的にタンパク質の各部位の柔らかさのような指標を求めることが可能となると考えた。これまでにもこうした情報を計算機実験により得る手段は存在していたが、前述の通りAlphaFoldDBにはすでに計算済みのデータが存在するほか、実験で決定された構造情報を遥かに上回る量の情報を保有している。そのため、AlphaFoldDBにある情報を活用するのが最も効率が良いと判断した。そこで、昨年度作成したシステムにpLDDTおよびPAEを取り込むための仕組みを導入するとともに、力覚として提示すべき値の計算手法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の研究計画を変更し、AlphaFoldDBの情報に対応することとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、AlphaFoldDBに収録された構造に対応した可視化とハプティクスデバイスによる力覚提示の実装を目指すとともに、一昨年度の分子ドッキングの成果と合わせた統合分子提示システムの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度同様、本研究費を利用した海外渡航(国際学会参加、海外研究者との議論及び共同研究)を予定していたが、感染症の流行のため渡航が制限されたため。また、研究計画の変更により研究期間の延長も必要となったため。
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