研究課題
本研究課題では、身の回りにあるスマートフォンやヘッドマウントディスプレイ等の情報デバイスを用いて、医療従事者の操作が不要で被験者の負担が軽減される簡便で精度の高い視野計測を行う手法を研究開発して、視疾患の早期発見につなげることを目的としている。視覚障がい者のうち約20%は疾患による失明であるが、早期に疾患を発見して適切な処置を施せば進行を遅らせることができる場合があることから、早期に疾患を検出する集団検診等に適用できる簡便な検査法を研究開発する。失明原因の疾患はいずれも視野欠損すなわち暗点が生じるので、疾患の早期発見や進行度の判定には暗点の検出が重要となる。暗点検出を行う一般の視野計測では、視野の中心点を固視させて、周辺部に表示される視標に対して反応させる方法が取られるが、本研究課題では、視線を固定する固視を必要としない、表示した視標により視線を誘導する手法を用いる視線誘導型視野計測法に関する基礎研究を行っており、実証のため、情報デバイスに視野計を構築して暗点と非暗点を精度高く分離するアルゴリズムの研究開発を行っている。40人38眼に対して計測を行ったところ本手法では優位に視野を検出できることを確認した。視線誘導型視野計測法は、被験者に負担の大きな視野中心を固視して計測しなければならない視野計測法と異なり、固視が不要で視線を自由に動かすことができるという点で全く新しい概念の視野計測法であるが、高精度に暗点判定を行う分離アルゴリズムに焦点を当てて研究を進めている。さらに、医療機関での視野計測結果と照合して精度の評価も行っている。その結果、開発中の視野計に関して分類制度を向上させることができ、米国特許、中国特許、独国特許を取得することができた。
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Big Data, Cloud Computing, and Data Science Engineering. Studies in Computational Intelligence
巻: 844 ページ: 69-83